経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」については,108.54%と単年度収支が黒字であり,類似団体平均値と比べて高い数値になっています。累積欠損金は発生していませんが,今後は下水道施設の維持管理費の増加や一般会計からの繰入金の減少等が予測されるため,使用料改定等を検討する必要があります。「③流動比率」については,64.67%と100%未満ですが,類似団体平均値と比べて高い数値になっています。今後は建設改良費に充てられた企業債の増加が予測されるため,注視する必要があります。「④企業債残高対事業規模比率」については,0%ですが,今後は企業債残高に対する一般会計負担額の減少が予測されるため,注視する必要があります。「⑤経費回収率」については,94.43%と100%未満ですが,類似団体平均値と比べて高い数値になっています。今後は下水道施設の維持管理費の増加が予測されるため,使用料改定等を検討する必要があります。「⑥汚水処理原価」については,有収水量1㎥当たり150.00円で類似団体平均値と比べて低い数値になっています。今後は下水道施設の維持管理費の増加が予測されるため,注視する必要があります。「⑧水洗化率」については,88.99%と100%未満ですが,類似団体平均値と比べて高い数値になっているため,引き続き接続率向上に努めます。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」「②管渠老朽化率」「③管渠改善率」を類似団体平均値と比較すると,老朽化している施設や管渠は少ないが,公共下水道事業を開始して約33年が経過することから,今後は経年劣化の進行している下水道施設の維持管理費の増大や更新需要の発生が予測されます。特に,下水道整備の進展に伴い,中継ポンプ場を構成する施設・設備の数は膨大であり,下水道施設の老朽化等に起因した事故が発生した場合,事後的な対応では市民生活に大きな支障が出るだけでなくコスト的にも不経済となります。そのため,令和元年度に策定したストックマネジメント計画に基づく対策を実施し,下水道施設における予防保全的な維持管理を行い,設備が使用限界値に達する前に耐用年数の延伸とライフサイクルコストの最小化を進めます。
全体総括
下水道事業は,大規模な先行投資が必要なことから財政運営に与える影響が大きく,さらに今後は,人口減少に伴う使用料収入の減少や施設の本格的な更新時期の到来を踏まえ,下水道事業をめぐる経営環境は益々厳しくなることが見込まれます。このため,未普及地域においては,地域の特性に応じた最適な事業手法を選択し,計画的かつ効率的な整備を行なうとともに,令和2年度に策定した経営戦略による人口減少や将来の需要予測等を踏まえ,投資及び維持管理の両面にわたって徹底した事業経営の効率化・合理化に取り組んでいきます。