経営の健全性・効率性について
収益的収支比率において、本市は100%未満であることから、使用料収入や一般会計からの繰入金(公費負担分)のみでは維持管理費と企業債償還金を賄えていない状況である。企業債残高対事業規模比率は、類似団体及び全国の平均値を下回っている。企業債残高は平成32年度をピークに漸減していく見込みである。経費回収率において、本市は100%未満であることから、使用料収入のみでは汚水処理に係る費用を賄えていない状況である。汚水処理原価において、本市は類似団体及び全国の平均値を下回っており、有収水量1㎥あたりの汚水処理費用が割安となっていることを示す。これは平成25年度に供用開始した処理区があり、各世帯の接続が途上であることを考慮すると、良好であると考えられる。施設利用率において、本市は類似団体及び全国の平均値を上回っており、汚水処理原価と同様の理由で、良好であると考えられる。水洗化率において、類似団体及び全国の平均値を下回っており、供用開始から間もない処理区があることが要因と考えられる。今後は当該指標の上昇が見込まれる。
老朽化の状況について
本市は、一番古い処理区の供用開始が平成13年度と年数が浅いため、管渠の法定耐用年数である50年を迎えるのはまだ先となっていて、管渠の更新は行っていない状況である。
全体総括
企業債残高は今後漸減していく見込みであるが、使用料収入の増加及び汚水処理に係る費用の削減を図り、公営企業の原則である独立採算を目標として、収益的収支比率及び経費回収率を100%に近づけていくことが必要である。具体的には、供用開始から間もない処理区を中心に水洗化率の向上を進めるとともに、将来の人口推計や節水指向を考慮した適正な使用料の設定に努め、使用料収入の増加を推進していく。一方、稼動状況を把握した上での適切な施設利用による汚水処理費用の削減、将来の需要を見越した更新計画の策定を検討していく。また、平成28年度より企業会計方式を導入し、より詳細な経営分析を基にした安定的で持続可能な中長期財政計画の策定を目指すこととしている。