経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、前年度から1.1%減の77.91%で単年度収支の赤字幅が広がっている。料金改定による適正な使用料収入の確保とコスト削減による維持管理費の抑制などに取り組んでいく。企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値に比べ、高い数値となっている。これは東日本大震災の復興事業に伴う借入によるもので、復興・創生期間の32年度まで高い数値で推移する。経費回収率は、類似団体平均値より低い数値となっており、64.71%で汚水処理に係る費用が使用料収入ですべて賄えていない状況にある。料金改定による適正な使用料収入の確保とコスト削減による維持管理費の抑制などに取り組んでいく。汚水処理原価は、類似団体平均値に比べ、高い数値となっている。これは汚水処理に要した費用が多くかかっているものであり、コスト削減による維持管理費の抑制に取り組んでいく。併せて、接続推進による有収水量の確保に取り組んでいく。施設利用率は、処理能力に対する、処理水量の割合を示すものである。前年度から大きく減少しているが、これは処理能力の数値を適正にしたことによるものである。類似団体平均値を下回っており、今後は、効率的な施設利用に取り組んでいく。水洗化率は、前年度から1.93%増の80.89%で下水道への接続が進んでいる。しかし、100%未満であり汚水処理が適切に行われていない状況にある。公共用水域の水質保全や生活環境の改善、また使用料収入の確保の観点から、下水道について広く市民に周知を図り、水洗化率の向上に取り組んでいく。
老朽化の状況について
下水道施設の年数の経過とともに、劣化や老朽化が原因で処理機能の低下も考えられる。下水道施設の持続的な機能確保を図るためのストックマネジメント計画を策定し、適切な維持管理に加えて、長寿命化対策を含めた計画的な改築に取り組んでいく。
全体総括
経営においては、事業運営に必要な経費をその経営に伴う収入(使用料収入)ですべて賄うこととしているが、すべてを賄えていないのが現状である。また、企業債残高も増加の傾向にある。適正な受益者負担と安定した事業運営を図るため、社会情勢や財政状況の把握による的確な収支見通しを行い、計画的な料金改定による財源の確保と下水道計画の見直しによる計画的な整備、コスト削減による維持管理による事業費の抑制に取り組んでいく。また、下水道事業の目的でもある公共用水域の水質保全や生活環境の改善のため、下水道への接続促進を図り、効率的な施設利用に取り組んでいく。