経営の健全性・効率性について
類似団体に対し、施設効率性を示す⑦施設利用率および⑧水洗化率は、比較的高い状況で推移しているが、今後は人口減少に伴い有収水量は減少すると思われる。⑧表において、水洗化の数値は類似団体より高い反面、今後は社会的人口減により当町においても接続人口が徐々に減少し、使用料収入の増加は見込めない状況である。⑤経費回収率は類似団体比較よりも低い傾向が続いていたが、当該年度は料金改定による使用料収入の増、維持管理費・償還金の減少により改善、⑥表の汚水処理原価も同様の傾向を示したが、今後も経費削減に努めなくてはならない。④企業債残高対事業規模比率が類似団体に比べ低いのは、更新改築を実施していない為に、新たな借入れが無く、残高ピークが過ぎたことに起因する。平成30年度~令和2年度で処理場全面改築実施に伴い、新たな借入れが発生し、令和3年度以降については当該償還費が増加するため、①④⑤⑥指標は悪化に傾く要素を含んでいる。
老朽化の状況について
処理場は、平成12年以降必要な改築更新事業(建設事業)を休止していたため、老朽化が進んでいた。そのため、安定稼働に必要な修繕を実施しており、維持費が増加傾向であったが、平成29年度より処理場の全面改築事業に着手し、令和2年度に完了したことにより、令和3年以降の処理場の修繕費は減少すると思われる。管渠施設は、近年の道路陥没事故に対する懸念や、不明水対策として、供用開始後30年を超えている管路施設を中心に修繕を実施しているが、今後さらに維持費(修繕費)が増加し、経営の悪化につながる要因となっている。しかしながら、安全で継続的にサービスを安定的に供給するために必要不可欠なものとして実施している。令和3年以降は、補助事業を活用し、更新修繕計画の策定および、効率的な改修・修繕を実施する必要がある。
全体総括
今後も、継続的なサービスを安定的に確保するためには、現状の維持管理だけでは限界が近づいている。よって、適正な改築更新(建設工事)を国の補助事業を活用し、計画的な修繕等を実施し、管理費の削減をしなければならない。平成27年度以降、人口減・地震対策を考慮したストックマネジメント計画を策定し、処理場の全面改築は終了したが、今後は管路施設を主とする改築修繕計画を推進し、計画的に、且つ経営バランスを考慮した事業を実施することが重要であり、それにより長期的スパンで施設の安全稼働および管理費コスト低減につながると思われる。経営安定のためには、併せて全体的なバランスを考慮した使用料単価の見直し等、さらなる経費削減が必要と思われる。