経営の健全性・効率性について
平成29年度の①収益的収支比率が前年度と比較して約25%減となった要因は、一般会計からの繰出金のうち「分流式下水道等に要する経費」に関する適正化(見直し)があり繰出金が減となったこと、また、大規模事業所の自家排水処理による下水道使用料の減収によるものである。④企業債残高対事業規模比率が前年度に比べ300%以上高くなったこと、⑤経費回収率が前年度比約30%減になった要因についても、①収益的収支比率と同様の理由によるものである。⑥汚水処理原価が高くなっているのは、前年度に比べ処理場の修繕等にかかる維持管理費が大きくなった為である。⑦施設利用率は、平成26~29年度まで約60%で推移してきているが、上記で述べたとおり大規模事業所の自家排水処理や将来の人口減少による汚水処理水量の減少も見込まれることから、現在進めているし尿処理施設と下水処理場との統合により、適正な施設利用が図れるよう努めていく必要がある。⑧水洗化率については、平成30年度より新たに導入する下水道接続促進事業(新築を除いた宅内の排水設備工事費用に対して一部補助を行う事業)により、接続率向上を目指す。現在の本市の下水道事業は、下水道使用料のみで維持管理等の経費を賄えていないため、一般会計繰入金に頼っている状況である。更なる経費削減を図り、効率的な事業運営を行うため、下水道使用料改定についても検討する必要があると考える。
老朽化の状況について
名護下水処理場は、昭和54年の供用開始から40年が経過する。処理場の老朽化は著しく、現在も処理場の改良工事を進めている。これからは、ストックマネジメント計画に基づき、膨大な施設の状況を把握・評価し、計画的かつ効率的な管理を進めていくこととしている。また、左記の「2.老朽化の状況③管渠改善率」では、平成29年度に管渠改善率が0.32%(管渠更生距離540m)となっているが、処理場と同様に管渠の老朽化も進んでいることから、補助事業により管渠更生工事についても進めていく必要がある。
全体総括
本市の下水処理場、管渠の老朽化は著しく、施設の修繕や更新費用等、近年の維持管理費用は増大している。また、大規模事業所の下水道からの撤退、節水技術の向上、将来の人口減少による下水道使用料の減収も見込まれている。このような状況の中、国からの通知に基づき、下水道事業の持続可能かつ安定的経営を目指し、本市の下水道事業は平成32年度より公営企業へ移行する。これにより一層の事業の健全化が求められることから、現在取り組んでいる水道事業との組織統合による経費削減、し尿処理施設の統合等、効率的かつ持続可能な事業を目指していく。また、公営企業へ移行した後、早急に下水道使用料の見直しも実施していく予定である。