経営の健全性・効率性について
令和2年度から地方公営企業法の一部適用(財務適用)により特別会計から公営企業会計に移行した初年度の決算である。令和2年度の決算状況において、①経常収支比率は、類似団体平均を上回っているが、給水収益が少ないため一般会計からの補助金に依存し、経常利益を確保している。②累積欠損金はない。③流動比率は、類似団体平均を下回っているが、公営企業会計に移行した初年度であり、流動資産の現金預金を構成する損益勘定留保資金や剰余金積立金等が蓄積していないことが主な要因である。④企業債残高対給水収益比率は類似団体平均を下回っている。⑤料金回収率は、類似団体平均より下回っており、給水収益では給水に係る費用を賄えておらず一般会計補助金に依存している状況である。また、新型コロナウイルス感染症対策で水道料金の基本料金4ヵ月分の減免を行ったため、5.47ポイント低い数値となっている。⑥給水原価は、類似団体平均よりかなり高く、島しょ部である立地条件から水道施設が点在し維持管理コストが高いことが要因である。⑦施設利用率は、類似団体平均より上回っており、余裕を有しつつ効率的に施設を利用している。⑧有収率は、類似団体平均より上回っているが、今後も適切な維持管理による漏水の縮減等により、有収率向上に取り組んでいく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均より大きく下回っているが、令和2年度から公営企業会計に移行した際、固定資産評価額を経過年数分減じて評価し直したうえで減価償却をしたことが要因である。②管路経年化率は、類似団体平均を下回っているが、今後、法定耐用年数を超えた老朽管の割合が増加していく見込みであることから、引き続き老朽管更新事業に取り組んでいく必要がある。③管路更新率は、類似団体平均と同水準であるが、今後、更新需要の増大が見込まれることから、簡易水道等施設整備費国庫補助金等を活用し、管路更新に取り組んでいく必要がある。
全体総括
本市簡易水道事業は、平成28年度から給水区域が、島しょ部の甑島地域となり給水人口が少なく、給水収益だけでは費用を賄えず、一般会計からの財政支援に大きく依存している状況である。公営企業会計に移行し、経営状況についてより明確に把握出来るようになったことから、水道料金の収納率向上及び経費削減に取り組み、一般会計からの財政支援の抑制に努めるとともに、施設・設備及び管路の計画的な更新及び整備を行い、安全で安心な水を安定的に供給するため、計画的な事業運営と安定経営に取り組んでいく。