経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、年々低下し、さらに厳しい経営状況です。④企業債残高対事業規模比率は、類団平均値よりも高い状態が続いています。今後、企業債償還元金の減少傾向が続くことが見込まれていますが、依然として下水道財政を圧迫しています。⑤経費回収率は、100%を下回っていることから汚水処理量の削減、適正な使用料水準など、改善対策が急務となっています。⑥汚水処理原価は、類似団体平均値より約41ポイント下回っている傾向が続いており本市の地理的な要因が大きいですが、効率的な汚水処理が実施されていると言えます。⑦施設利用率は、大幅に低下していますが、し尿処理場が竣工したことに伴い中央浄化センターへの汚水の流入量が減少したことが主な原因と考えられます。今後については人口減少に伴い処理水量がさらに減少傾向となることが予想され、長寿命化対策と同時に施設規模の縮小にも取組を始める必要があります。⑧水洗化率は、これまでの下水道への接続勧奨対策から微増傾向が続いているものの人口減少や近年の節水機器の普及等により下水道使用料は、横ばい傾向が続き、今後も大幅な伸びは期待できない状況です。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、国庫補助金の財源確保に努めながら、改善に向けて努力を続けています。昭和33年の下水道供用開始から60年以上が経過し、耐用年数が50年といわれる下水道管の老朽化は著しく、現在は危険性の高い箇所から管更生事業を実施しています。終末処理場は昭和54年の処理開始から40年以上が経過し、施設自体や各種設備機械等の老朽化が進む中、平成29年度から引き続き改築更新事業を実施しています。
全体総括
ほぼ横ばい傾向にある下水道使用料収入に対し、公債費償還に係る負担割合の増大から今後も厳しい経営状況が続くため、資本費平準化債を活用し、公債費償還元金の平準化を図り財源上の目途を立てている状況です。令和2年度からは、公共下水道事業に地方公営企業法を全部適用し、損益収支が明らかになることから、将来財源の確保に向けた中長期的な経営戦略を策定し、抜本的な改革を進めていく必要があります。