経営の健全性・効率性について
【※注:本市においては、公共下水道事業会計及び特定環境保全公共下水道事業会計を区分せずに会計処理を行っている。その結果、両者の各決算値においては実数値が把握できないことにより便宜的に按分等で算出している項目がある。】平成28年度から令和2年度において、経常収支比率は100%であり、累積欠損金比率も0%であることから、経営状況は良好である。流動比率は平成29年度以降100%を超え、支払余力が高まった。企業債残高対事業規模比率は、令和2年度においては類似団体平均値から636.09ポイント下回っている。将来的な管路更新に備え計画的に事業を進めるとともに、料金収入に見合った規模の企業債を発行するなど、細やかな分析に基づく対応が継続的に必要である。経費回収率は100%に達し、類似団体平均値を上回る水準となった。これは平成29年度以降、汚水処理費の算定を見直し減額となったことによるものと考えられる。同様に汚水処理原価も大幅に下がってはいるが、類似団体平均値をやや下回る水準となっている。汚水処理費が関わる項目については今後の推移を注意深くみていく必要がある。引き続き有収水量の増加及び維持管理費等の削減に計画的に取り組んでいく。施設利用率は本市には終末処理場が存在しないため該当値はない。水洗化率は類似団体平均値と比較して良好だと考えるが、近隣市よりは低い傾向にある。それぞれの地域における地理的条件等を勘案しながら、より合理的・計画的に、また、費用対効果等を考慮しながらその地域に最適と考えられる手法により事業を進め、更なる水洗化の向上に努める。
老朽化の状況について
類似団体平均値とほぼ同様の推移を示している。平成26年度の公営企業会計制度改正で急激に有形固定資産減価償却率が上昇し、この時点で類似団体平均値を上回る形となった。管渠老朽化率は0%であり、法定耐用年数を経過した管渠は存在しない。本市においては平成28年度に筑紫野市下水道ストックマネジメント計画を策定しており、管渠の重要度、経過年数などを考慮しながら計画的に施設の更新及び長寿命化対策を行っていく。
全体総括
各種経営指標から、経営状況は概ね良好である。補てん財源についても、令和元年度以降好転している。「2.老朽化の状況について」においても述べたように筑紫野市下水道ストックマネジメント計画に基づき老朽管渠の更新・長寿命化対策を行っていくが、事業費とその財源確保の方策に対する将来的な予測を総合的な見地から行い、両者のバランスを取りながら経営の安定化を持続させることが肝要であると考える。