収益等の状況について
平成26年度から利用料金制を採用し、指定管理料の支出がないため、①~③の指標については、いずれも施設建設時の地方債償還金が算定数値の中で大きな割合を占めている。この償還は平成34年度までであるため、それ以降は収支改善が図られる。④稼働率は数年横ばいで、類似施設平均より高いものの、改善のため収支状況を踏まえた利用料金設定の見直しも検討する必要がある。⑤については、数年増加傾向で平均より高いため、サービスの質は保ちつつ人件費を抑制する必要がある。⑥については、数年に渡って収支が均衡しており、収益性が高いとは言えない状況であるが、そのうち設備投資による減価償却費を除いた⑦の営業利益では、一定の収益性が確保できていると言える。
資産等の状況について
平成14年の施設開設から約16年が経過しているものの、建物の耐用年数が39年(参考:国税庁)あるなかでの経過年数でみるとまだ残存期間は長い。しかしながら、現時点での設備投資見込額が約2億円あることに加え、開設後の経過年数から今後不測の設備投資を行わざるを得ない事案が発生する可能性が高く、安易に資産価値が高いとは言えない状況である。
利用の状況について
山口県の宿泊需要に占める下関市の需要、同じく山口県の宿泊需要に占める海峡ビューしものせきの宿泊需要、いずれも近年は横ばいであり、施設ニーズは継続していると思料する。実際の利用者数も、平成26年の利用料金制への移行後、少しずつではあるが上昇傾向にあり、利用状況は改善されつつある。
全体総括
上記1~3の各分析を踏まえて、民間譲渡の可能性を検討すると、施設建設時の地方債償還金の返済完了の時期と、今後の施設老朽化に伴う設備投資額の上昇度合との兼ね合いを見極めながらタイミングを計る必要がある。また、当該施設の用地については、国定公園内用地を借用しているため、この点に支障がなければ可能性はあると思料する。市内には宿泊施設は多数存在するが、ビジネスホテルとは一線を画した好立地の宿泊施設は需要が継続すると見込まれ、かつ現時点での資産価値は残っていると判断されるため、事業廃止の選択肢は考えにくいが、今後の利用状況の動向も踏まえながら、総合的に検討していく必要がある。