経営の健全性・効率性について
本市の漁業集落排水事業は,箱崎漁港・走漁港・横田漁港の背後集落3地区で構成されており,箱崎地区は平成13年度から,走地区は平成23年度からそれぞれ供用を開始しています。横田地区については,平成26年度から一部供用を開始し,現在,供用区域を拡大しているところです。経営においては各地区毎に維持管理費用削減を図っていますが単年度収支は100%未満となっています。他の項目も表④~⑧が示すように,類似団体平均値を下回っています。各地区の要因を考察すると次のとおりです。箱崎地区は自主的な財源確保のため,供用開始時からの施設使用料を平成26年度に見直しましたが,過疎化が著しく進行しており,使用料収入が減少傾向にあります。走地区は少子化による小中学校の廃校と併せ,過疎化・高齢化も急速に進んでおり,接続率の伸びが鈍化傾向にあります。横田地区は平成26年度が一部供用開始初年度でもあるため,全体計画に対比すると進捗率が比較的低く,処理区域内人口1人あたりの投資額が多くなっており,漁業集落排水事業全体として,経営指標が前年度を下回った要因となっています。総じて,下水道整備は初期投資が巨額に上る一方,普及率は緩やかに上昇していくという特徴をあらわしていると考えられます。
老朽化の状況について
管渠の耐用年数は50年とされています。漁業集落排水事業の各地区において管渠老朽化対策や更新は具体的に発生していません。しかし,将来,到来する状況に備え,中長期的に計画的かつ効率的な管理をしていきます。
全体総括
既供用開始地区においては,施設の維持管理体制のあり方について検討をすすめ,更なるコスト削減を目指すとともに,接続率の向上に取り組み,収支面から経営基盤強化に努めます。横田地区においては,管渠整備拡大にあわせ,早期接続を働きかけ,収入の確保及び施設の適正な運転・管理に努めます。また,全地区において,利用者の公平性の観点から,使用料の滞納者には厳正に対処すると共に,経営の財源たる収納率の向上を図ります。