経営の健全性・効率性について
経常収支比率について、令和元年度は前年度と比較して木津川流域下水道維持管理負担金が増加したことにより、数値は低下しているが、100%は上回っている状況である。流動比率については市民防災広場雨水地下貯留施設設置工事の支出等により前年度と比較し減少しているが、類似団体よりは高い水準にある。また、企業債残高対事業規模比率については、類似団体と比較し低くなっており、毎年減少している。これらの要因としては、市内男山団地造成時に都市再生機構が下水道施設を整備した後、施設等を譲り受けたため、当時の企業債発行額が抑えられたことによるものと、建設費が大きかった時期の企業債の償還が進み、企業債残高や翌年度の企業債償還金が減少していることがある。経費回収率については、経常収支比率と同様の理由等により前年度に比べて費用が増加したため低下しており、同様の理由で汚水処理原価については増加している。水洗化率については、類似団体と比較して高い状況であり、これは主だった集落について下水道整備が完了していることによる。
老朽化の状況について
平成22年度より管渠長寿命化計画を策定し、補助金等の財源確保と計画的な管渠の更新を行っており、令和元年度は第2期5年目であった。管渠改善率については、類似団体と比べて高い水準にあるが、当年度は雨水地下貯留施設設置工事等を完了させる等の関係で、長寿命化工事を行った管渠延長が比較的短かったため、前年度を下回っている。有形固定資産減価償却率については、年々増加しており、水洗化率が高く新規の下水道整備が少ないことや、耐用年数を超過した管渠がないことから、今後も対象資産の償却が進むことで増加が続くと見込まれる。今後は令和元年6月に策定したストックマネジメント計画による点検調査及び改築を、効率的・効果的に進めていく必要がある。
全体総括
令和元年度では、京都府の木津川流域下水道の公営企業会計適用や、前年度からの城南衛生管理組合のし尿投入による排水量の増加による維持管理負担金の増加があった。下水道使用料収益については、人口減少や節水機器の普及等の影響により前年度対比では減少している。建設事業については、市民防災広場雨水地下貯留施設の工事完了により支出が大きくなっている。今後については、令和2年度末までに策定予定である八幡市下水道事業経営戦略に基づき、人口減少等による下水道使用料収益の減少を見据えつつ、老朽化対策や耐震化工事等で、国の交付金制度を活用し財源の確保と計画的な改築更新等を引き続き行っていくこととする。