経営の健全性・効率性について
富士市公共下水道事業は、平成24年4月に地方公営企業法を全部適用し、公営企業会計を導入しました。平成24年度以降、平成26年4月の使用料改定による使用料収入の増加、平成26年度の会計制度の見直しによる現金収入を伴わない「長期前受金戻入益」の計上及び支払利息等維持管理費の削減により、料金水準の適正化及び経常損益の改善に努めた結果、①経常収支比率、⑤経費回収率ともに向上し⑥汚水処理原価については、年々減少しています。また、支払能力を示す③流動比率は、平成26年度の会計制度の見直しにより、1年以内に償還予定の企業債元金が流動負債に計上された結果、比率が100%未満となっています。企業債元金の償還は、一般会計繰入金に依存しているため、今後は自主財源である使用料収入の確保及び一般会計繰入金の確実な受入による支払能力の向上が課題です。債務残高の状況を示す④企業債残高対事業規模比率は、企業債元金の償還が進んだことによる企業債残高の減少及び使用料改定による使用料収入の増加により年々比率が好転していますが、整備拡大のため企業債を活用し下水道管布設を行っていることから、比率は類似団体の平均値より高くなっています。⑦施設利用率及び⑧水洗化率については、類似団体の平均値より低いため、管路整備の進捗を図り流入水量を確保することで、計画汚水量による計画上の比率(1日平均汚水量÷1日最大汚水量)に近づけていくとともに、公共下水道への接続促進により経営基盤の安定化に努めていきます。
老朽化の状況について
平成24年4月に公営企業会計に移行した際、資産の評価額は、未償却残高を新取得価額としたことから、①有形固定資産減価償却率は、類似団体の平均値に比べ低く算定されています。②管渠老朽化率は、昭和40年に供用開始以来、平成26年度で49年が経過しましたが、管渠の耐用年数50年を経過していないため、比率は0となっています。なお、管路施設の状況は、管布設から30年を超えるものは、管延長全体で、約20%を占めています。平成27年度から、予防保全型維持管理への移行を見据え、処理場管理運転業務に加え、管路施設の点検業務についても、包括的民間委託の導入を行っています。今後はストックマネジメント手法を踏まえた長寿命化計画の策定と、優先順位を考慮した施設の改築更新及び適切な維持管理を実施することで、資産の延命化及び資産管理の最適化を図っていきます。
全体総括
経営状況について、類似団体と比較すると、平成26年度の経常収支比率及び経費回収率など「経営の効率性」に関する指標は平均値を上回っている一方で、施設利用率及び水洗化率など「施設の効率性」に関する指標は平均値より低く、また「財政状態の健全性」に関する指標である「企業債残高対事業規模比率」は平均値より高くなっています。これらの要因は、昭和40年の供用開始以降、管路整備拡大を行なっているものの全体計画区域に対する面積整備率が60%台であること、処理区域内人口密度の高い区域から低い区域へ整備対象が移ってきていることによるものです。今後、水需要の減少等使用料収入の伸びは期待できないことから経営環境は厳しさが続くものと予測されます。計画的かつ効率的に管路整備を行っていくとともに、効果的な資産の維持管理を実施することで、更なる経営指標の改善を図っていきます。