飛騨市：特定環境保全公共下水道

経営の健全性・効率性について

収益的収支は、比較的良好に推移していますが、これは国で定められた一般会計からの繰入金とそれを上回る基準外の繰入金を多く含むものであるためで、総収益の8割以上を繰入金が占めています。また、経費回収率に影響する汚水処理原価については、企業債にかかる元金償還に対して繰入を行う費用は含まれないものの、類似団体、全国平均と比較しても大幅に高い数値となっており、現在の使用料収入では経常費用が賄えない状況となっています。企業債残高に対する事業規模比率については、一般会計からの繰入分を除いているため、類似団体、全国平均との比較では良好な数値となっていますが、企業債の償還は大部分が一般会計からの繰り入れによるもので、今後も一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない状況となっています。施設利用率については、類似団体、全国平均と比較しても非常に低い数値となっています。これは当初計画にて見込んでいた処理場における汚水処理能力が一日最大処理水量を基準に整備されていることや、観光人口を多く見込んでいることなどが影響していると考えられますが、現状は実際の処理水量に対し過大な施設となっています。また、水洗化率については、供用開始されてから相当の期間が経過していることもあり、同様な率で推移すると予想されますが、人口減少などの影響により、使用料金に反映される有収水量は減少していくことが見込まれます。

老朽化の状況について

特定環境保全公共下水道事業は、平成７年度から整備事業を開始し、平成14年度より供用開始していることから、管渠や建物などは法定耐用年数を超えておらず、老朽化施設とはなっていませんが、処理場の機械・電気設備等については老朽化が進んでいくため、長寿命化事業等の導入により更新を進める必要があります。

全体総括

特定環境保全公共下水道事業単独では、地形的に効率的な汚水処理が困難な状況であり、経常費用を料金収入で賄うことは将来的にも不可能な状況であるため、料金改定も必要と考えられますが、飛騨市の下水道事業は平成23年度より料金が統一されており、下水道事業全体の料金回収率を考慮して適正な料金設定を行っていく必要があります。今後も必要最低限の一般会計からの繰り入れを行いながら、維持管理費の削減に向けた取り組み（汚泥量の削減など）を行っていくとともに、将来にわたり安定的に下水処理を行っていくことを目的として、ストックマネジメント支援制度の導入による処理場の長寿命化を推進していきます。また、施設利用率の状況等も踏まえ、他の下水処理施設との将来的な施設及び経営の統合等、アクションプランに基づく事業の効率化についても検討を進め、今後の人口減少の影響を考慮した長期的な「経営戦略」を策定します。