経営の健全性・効率性について
経常収支比率は類似団体を若干下回り100%を超えている。しかしながら経費回収率は100%を下回り、一般会計からの補填により収入不足が賄われていることから、料金の見直しを検討する必要がある。また、流動比率は100%を大きく下回っている。建設改良費等に充てられた企業債償還額がピークを迎えており、令和9年度以降に流動負債は減少していく傾向である。企業債残高対事業規模比率は類似団体平均より非常に低い水準であるが、今後は施設等の更新工事を実施することで企業債残高が増加することが予想されるため、その水準に注視する必要がある。施設利用率が類似団体平均よりも低く、施設の統廃合を計画的に実施することで汚水処理原価を抑えられる可能性がある。
老朽化の状況について
有形固定資産の約50%を償却していることから、徐々に修繕や更新の需要が高まってきている。なお、施設利用率は類似団体平均よりも低いことから、過剰な施設の規模となっているようであれば、更新の際にダウンサイジングを検討することも必要となる。
全体総括
本市の下水道事業は、令和2年4月より地方公営企業会計へ移行した。平成29年度から組織編成や公金徴収業務の民間委託を行い経営の健全化に努めたが、人口減少や節水意識の向上により、有収水量の大幅な増加が見込めないため、経営状況は一層厳しさを増すことが予想される。今後は、ストックマネジメントに取り組むなど、より一層財政収支の適正を図り経営の健全化を図ることが求められる。そのため、平成30年度に策定した「北杜市上下水道経営基本計画」を改訂し、財政の健全化を図るとともに、持続可能な事業運営に努める。