経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、平成30年10月に料金改定を行い若干改善されているが、一般会計からの繰入金に頼っている状況にあるため、今後も簡易水道事業の安定的な運営と健全経営に努めるため、継続して料金改定に取り組む必要がある。④給水収益に対する地方債残高は、類似団体と比較すると若干下回っているが、必要な更新を先送りし、新たな借り入れを行っていないため企業債残高が少額となっているに過ぎない。⑤料金回収率は、類似団体平均値を大きく下回っており、給水費用を料金収入で賄えず一般会計から基準外の繰入金に依存している状況にあり、適切な料金収入の確保が必要である。⑥給水原価は、ほぼ横ばいを推移しており、給水費用は良好といえるが、今後の老朽化施設の更新により地方債費用等の増加が見込まれる。⑦施設利用率は、有収率の減少により利用率が増加した原因と考える。⑧有収率については、施設台帳に基づく徹底管理と現場状況の把握を進め、向上に努めているものの年々低下傾向にあり、更なる現場管理の効率化に取り組み老朽管路の計画的に更新を実施する必要がある。
老朽化の状況について
・供用開始から30年以上経過した未改良の配水管が多く存在し、見えない漏水による有収率の低下が見受けられる。また、水道施設(配水池、ポンプ等)においても耐用年数を超えている施設があり、故障のたびに修理や取替をしている状況である。一部の施設では、配水池の容量不足や渇水期の取水量確保などの課題があり、計画的な施設の更新が必要となっている。このため、大月市簡易水道事業等の将来構想(ビジョン)に基づき、今後における施設更新計画の素案を策定しており、令和2年度から順次簡易水道事業の施設整備工事を実施する予定で準備を進めている。
全体総括
・水道料金収入の基盤となる有収水量は、給水人口の減少や近年の節水機器の普及などから年々減少していることから給水収益の増加が見込めないため、一般会計からの繰入金で収入が保たれている状況となっている。施設の老朽化や水源確保も大きな課題となっているため、早急な施設整備を実施するとともに、簡易水道事業全体の財務体質の改善を図り、将来にわたって安定した水道水の供給に資するため、今後の見通し、料金水準の設定、財源の確保など更なる経営改善に向けた取り組みを行うこととする。