経営の健全性・効率性について
下水道使用料や一般会計からの繰入金等の収入で維持管理費等をどの程度賄っているかを示す「経常収支比率」は、下水道使用料や雨水処理負担金などの増額幅を、菖蒲インター工事に伴う下水管渠の資産減耗費や雨水に係る計画調査費などの増額幅が上回ったことから、前年度に比べ1.79ポイントの減となりましたが、経常収支は引き続き黒字を維持しています。しかし、下水道使用料で回収すべき費用をどの程度賄えているかを示す「経費回収率」は、下水道使用料及び有収水量は増となったものの、使用料単価が1.45円下がったことにより、前年度に比べ0.95ポイントの減となりました。なお、使用料収入に対する企業債残高の割合を示す「企業債残高対事業規模比率」は、借入額を償還額以下に抑えるプライマリーバランスの黒字維持による企業債残高の減などにより、前年度に比べ55.15ポイントの大幅な減となりました。また、公共下水道の処理区域内における公共下水道の使用人口の割合を示す「水洗化率」は、戦略的な水洗化の普及促進により、前年度に比べ0.7ポイントの増となりましたが、依然として全国平均及び類似団体に比べ低い状況にあります。今後も人口減少などによる使用水量の減少に伴う下水道使用料の減に加え、老朽化に伴う管路等の更新費用が増大するため、引き続き健全経営の確保とともに、使用料改定を含めた経営基盤の強化に努める必要があります。
老朽化の状況について
償却対象の有形固定資産の減価償却がどの程度進んでいるかを示す「有形固定資産減価償却率」は、類似団体等の平均を下回っており、施設の老朽化の度合いは低い状態にあります。また、法定耐用年数を超えた管渠がなかったことから、引き続き「管渠老朽化率」は0.00%となりました。管渠は、今後、法定耐用年数を超えるものが発生し始めるとともに、終末処理場等の施設は、既に更新を実施しており、益々更新需要が高まることとなります。このため、事業量を平準化し、計画的な更新を進めるとともに予防保全型管理による施設の機能維持に努める必要があります。
全体総括
人口減少等による水需要の低下に伴い、下水道使用料収入が減少していく中で、高度経済成長を中心に整備した施設の更新需要に対応しなければならず、今後も厳しい経営環境が続くことを想定しています。そうしたことを受け、本市における上下水道事業経営のあるべき姿とともに、具体的な行動である事業計画(施設整備計画・財政計画)を示す「はだの上下水道ビジョン」を令和3年3月に策定し、事業を展開しています。今後も、このビジョンに基づき直面する課題に着実に対応し、健全経営の持続に努めていきます。