経営の健全性・効率性について
下水道使用料や一般会計からの繰入金等の収入で、維持管理費等の費用をどの程度賄えているかを示す「経常収支比率」については、前年度に比べて0.59ポイント増の119.63%となり、経常収支は、引き続き黒字を維持しています。しかし、下水道使用料で回収すべき費用をどの程度下水道使用料で賄えているかを示す「経費回収率」については、下水道使用料収入が前年度に比べて減となったなか、0.84ポイントの増となったものの、引き続き100%を下回っており、一般会計からの繰入金(基準外)に依存している状態にあります。また、使用料収入に対する企業債残高の割合を示す「企業債残高対事業規模比率」については、前年度に比べて65.96ポイントの増となったものの、全体の企業債残高は、引き続き減となりました。さらに、公共下水道の処理区域内の人口に対し、公共下水道を実際に使用している人口の割合を示した「水洗化率」は、効果的な水洗化の普及促進に努めたなか、前年度に比べて0.89ポイントの増となったものの、類似団体に比べて低い状況にあります。今後も人口減少などによる使用水量の減少に伴う下水道使用料収入の減に加え、施設の老朽化に伴う費用の増が見込まれるため、引き続き健全経営の確保とともに経営基盤の強化に努める必要があります。
老朽化の状況について
償却対象の有形固定資産の減価償却がどの程度進んでいるかを示す「有形固定資産減価償却率」は、類似団体平均を下回っており、類似団体に比べて施設の老朽化の度合いは低い状態にあります。また、法定耐用年数を超えた管渠が発生しなかったことから、引き続き「管渠老朽化率」は0.00%となっています。管渠については、今後、法定耐用年数を超えるものが発生し始め、更新需要が高まることになります。終末処理場等の施設については、既に更新を実施してきていますが、今後も更新需要は高まっていきます。このため、事業量を平準化し、計画的な更新を進めるとともに、予防保全型管理による施設の機能維持に努める必要があります。
全体総括
公共下水道事業の主たる収入である下水道使用料収入は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、令和2年度においても減収の見込みで、今後も厳しい事業環境が続くことが想定されます。現在、令和3年度を始期とする、本市における上下水道事業経営のあるべき姿とともに、具体的な行動である事業計画(施設整備計画・財政計画)を示す「はだの上下水道ビジョン」の策定作業を進めているところです。今後は、この「はだの上下水道ビジョン」に基づき、直面する課題に着実に対応し、健全経営の持続に努めていきます。