経営の健全性・効率性について
本事業は令和2年度から地方公営企業法を適用し、公営企業会計方式による経理を行っている。①経常収支比率については、法適用以前に繰り入れた一般会計繰入金の一部を発生主義に基づき収益として計上したことにより100%を上回っている。また、費用の効率性の観点からの⑥汚水処理原価は、類似団体平均を下回っている一方で、⑤経費回収率は100%を割り込んでいる。使用料収入の確保や更なる経費削減の必要がある。⑧水洗化率は、下水道整備が概成しており、接続促進の取組みを進めたことから98%を超えており、高い水準にある。流動負債の大半を占める企業債の償還はピークを越えたものの、依然として高い水準にあることから、③流動比率は類似団体平均を下回っているものの、その償還財源は翌事業年度に確保される見込みであり、支払能力に問題はないと考える。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均を下回っていることから、企業債の償還が進んでおり、良好であると考える。本市の下水道事業はすべて流域下水道に接続しており、終末処理場を有してないため、⑦施設利用率については該当がない。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は類似団体平均及び全国平均を大きく下回っているが、これは、令和2年度から地方公営企業法を適用したことにより、会計上1年分のみ償却されていることによる。本市は昭和30年から工事に着手しており、②管渠老朽化率は類似団体平均を下回っているものの、初期に布設された管渠は50年以上経過していることから、今後増加することが見込まれる。これまでも老朽化した管渠を計画的に更新し、③管渠改善率は類似団体平均を上回っており、長寿命化対策が着実に実行されていると考える。今後も下水道ストックマネジメント計画に基づき、リスク予測を行い効率的に点検・調査を実施し、調査結果を基に計画的な改築・修繕を行うことにより、ライフサイクルコストの低減と平準化に取り組む。
全体総括
本市の下水道事業は、各指標が示す通り、現在は厳しい経営状況にある。令和2年度に策定した「八王子市下水道事業経営戦略」に基づき、更なる経営基盤の強化と財政マネジメントの向上に取り組むことにより持続可能な事業経営を推進する。