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愛知県名古屋市の財政状況(2022年度)

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2022年度)

財政力指数の分析欄

令和4年度は前年度と同水準となっている。これは、財政力指数は3か年平均の数値であるため、令和4年度と令和元年度の単年度数値を比較すると、基準財政収入額が、地方消費税交付金の消費税率10%への引上げ影響平年度化等により増加したものの、基準財政需要額が少子高齢化の進展等による社会福祉費や高齢者保健福祉費の増加等により増となったことによる。基準財政需要額の規模に対して、財源不足額が相対的に少ないため、財政力指数は1.00を下回っているものの、類似団体内平均値を上回る状況にある。

経常収支比率の分析欄

令和4年度の経常収支比率は、普通交付税や臨時財政対策債などの一般財源が減少したことに加えて、扶助費、医療・介護に係る特別会計への繰出金や市有施設の光熱費を始めとした物件費などの経常的経費充当一般財源が増加したことにより、前年度に比べて2.7ポイント増の97.8%となり、依然として高い水準にある。これは、少子高齢化の進展や社会保障施策の拡充に伴い保育や障害福祉、医療などへの支出割合が高まっていることや、過去の整備に伴う元利償還である公債費への支出割合が高止まりしていることなど社会構造、都市構造の変化を主な要因とするものであり、成熟度の高い都市の特徴であると考えられる。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

令和4年度の人口一人当たり人件費・物件費等決算額は、期末勤勉手当や共済組合負担金の増などにより人件費が、自宅療養者配食サービスやナゴヤ応援寄附金募集経費の増などにより物件費がそれぞれ増加し、前年度に比べて5,722円増加した。なお、本市において人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っており、物件費等については、内部管理事務経費や施設の維持管理費を精査することなどにより、経費の削減に努めている。

ラスパイレス指数の分析欄

平成28年4月1日から国に準じ給与制度の総合的見直しを実施し、本市においては給料表の水準の平均4.5%の引下げ及び国と同率の地域手当の支給割合の見直し等に取組んだ後は、人員構成や給与改定の差異の影響はあるものの、ほぼ横ばいで推移している。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

平成28年3月に策定した「平成29~31年度定員管理の方針」に基づき、平成28年度職員数に対し、平成31年度当初までに100人程度の純減(公営企業及び県から移管された小中学校等の教職員等を除く)する目標は達成した。しかし、人口当たり職員数は類似団体内平均値を上回っており、これは市立教育機関や保育所等の直営福祉施設の差が主な要因であると考えられる。現在は「令和2~6年度定員管理の方針」に基づき、令和元年度職員数に対し、100人以上の純減(公営企業を除く)を目指し、引き続き施設の民営化や業務の委託化等を進め、定員の再配分を積極的に行うことにより、効率的・効果的な行政運営に努めている。なお、令和2年度に人口千人あたり職員数が増加した主な要因は、東部・西部医療センターの名古屋市立大学医学部附属病院化による病院局(公営企業)廃止に伴い、名古屋市立大学病院への派遣職員数(普通会計内)が1,177人増加したためである。

実質公債費比率の分析欄

令和4年度の実質公債費比率は、類似団体内平均値と同じ数値だが、前年度と比べて0.4ポイント減少している。これは、実質公債費比率は3か年平均の指標であるため令和4年度と令和元年度決算を比較すると、分子となる元利償還金が減少していることに加え、分母となる標準財政規模が、標準税収入額等の増などにより増加したことによる。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。

将来負担比率の分析欄

令和4年度の将来負担比率は、類似団体内平均値と比べて21ポイント高いが、前年度と比べて5.6ポイント減少している。これは、分母となる標準財政規模が、臨時財政対策債発行可能額の減などにより減少したが、充当可能基金の増加などにより充当可能財源額等が増加したことにより分子が減少したため、比率としては低下している。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2022年度)

人件費の分析欄

人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っているが、令和4年度は、期末勤勉手当や共済組合負担金の増などにより、人件費は増加した。また、普通交付税や臨時財政対策債の減などにより経常一般財源等も減少したことから、前年度に比べて0.9ポイント増加し、32.3%となった。また、次頁の人件費及び人件費に準ずる費用の人口1人当たりの歳出決算額は、依然として類似団体内平均値を上回っている。その理由及び分析については、(3)市町村財政比較表の「定員管理の状況」分析欄を参照。

物件費の分析欄

令和4年度の物件費に係る経常収支比率は10.9%で、市有施設の光熱費の増などにより、前年度と比べて0.3ポイント増加したが、類似団体内平均値と比べて低い水準を維持している。これは施設運営の効率化や光熱水費の削減などに努めてきた結果であると考えられる。

扶助費の分析欄

令和4年度の扶助費に係る経常収支比率は18.0%と類似団体平均値と比べて高い水準にある。障害者福祉施策や児童福祉施策に係る経費が増加傾向にあることから増加しており、令和4年度も引き続き高い水準にある。

その他の分析欄

令和4年度のその他の経費に係る経常収支比率は11.2%で、その他の経費のうち後期高齢者医療特別会計や介護保険特別会計への繰出金が増加したことなどにより前年度から0.6ポイント増加し、類似団体内平均値と同程度となった。

補助費等の分析欄

令和4年度の補助費等に係る経常収支比率は8.9%で、地下鉄特例債元金償還補助金の減などにより前年度と比べて0.1ポイント減少した。類似団体内平均値と比べて高い水準にあるが、これは下水道や交通事業を始めとした公営企業などへの繰出が多額になっていること及び名古屋港を管理する一部事務組合を設置し、負担金を支出していることが主な要因であると考えられる。

公債費の分析欄

令和4年度の公債費に係る経常収支比率は16.5%で、類似団体内平均値と比べて低い水準で推移している。公債費は同程度で推移したが、経常一般財源等が減少したことなどにより、前年度から0.3ポイント増加している。

公債費以外の分析欄

令和4年度の公債費以外の経費に係る経常収支比率は、普通交付税や臨時財政対策債の減などにより経常一般財源等が減少し、前年度より2.4ポイント増加した。本市は類似団体内平均値と比べて高い水準にあり、これは少子高齢化の進展や社会保障施策の拡充に伴い保育や障害福祉、医療などへの支出割合が高まっていることなど、社会構造、都市構造の変化を主な要因とするものであり、成熟度の高い都市の特徴であると考えられる。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

民生費は、類似団体内平均値とくらべてやや高い水準にある。令和4年度は前年度から比較すると1.8%減少した。これは3年度に実施した子育て世帯臨時特別給付事業の減などによる。衛生費は、類似団体内平均値とくらべてやや高い水準にある。令和4年度は前年度から比較すると11.3%増加した。これは新型コロナウイルス感染症に係る自宅療養者等への医療提供事業の増などによる。教育費は、類似団体内平均値とくらべてやや高い水準にある。令和4年度は前年度から比較すると4.6%増加した。これは瑞穂公園陸上競技場整備や中学校体育館空調設備整備の増などによる。総務費は、類似団体内平均値とくらべてやや高い水準にある。令和4年度は前年度から比較すると28.3%増加した。これは財政調整基金への積立の増などによる。諸支出金は、類似団体内で最も高い水準にある。これは交通事業などへの繰出が多額になっているためである。令和4年度は前年度から比較すると6.4%増加した。これは高齢者市営交通料金の軽減の増などによる。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2022年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

令和4年度の歳出決算総額は、住民一人当たり618,539円となった。主な構成項目である扶助費は、住民一人当たり166,947円と類似団体内平均値をわずかに上回る水準にあり、令和4年度は前年度から比較すると4.2%減少した。これは子育て世帯臨時特別給付金や住民税非課税世帯臨時特別給付金の減などによる。もう一つの主な構成項目である人件費は、住民一人当たり117,930円となっており、類似団体内平均値と比べても高い水準にあるが、これは市立教育機関や保育所等の直営福祉施設の差が主な要因であると考えられる。令和4年度は期末勤勉手当や共済組合負担金の増などにより、前年度より1.4%増加した。物件費は住民一人当たり66,083円となっており、前年度から比較すると自宅療養者配食サービスの増やナゴヤ応援寄附金募集経費の増などにより6.1%増加したものの、効率的な執行に努めたことにより類似団体内平均値と比べて低い水準にある。補助費等は住民一人当たり55,810円と類似団体内平均値と比べて高い水準にあり、前年度から比較すると20.9%増加した。これは新型コロナウイルス感染症に係る自宅療養者等への医療提供事業や地域経済活性化促進事業(プレミアム付商品券発行事業)の増などによる。

実質収支比率等に係る経年分析(2022年度)

分析欄

<財政調整基金/標準財政規模>令和4年度の財政調整基金残高は、一般会計歳計剰余金の基金編入や今後の財政需要に対応するための積立てにより、前年度に比べ約170億円増加し、約377億円となった。そのため、標準財政規模に対する割合は前年度に比べて2.67ポイント増加した。<実質収支額/標準財政規模>令和4年度の歳入歳出差引は前年度に比べ約22億円減少し、翌年度に繰り越すべき財源が前年度に比べて約2億円減少したことから、実質収支は約20億円減少し、約82億円となった。そのため、実質収支額が標準財政規模に占める割合は前年度に比べて0.29ポイント減少した。<実質単年度収支/標準財政規模>令和4年度は、単年度収支が前年度に比べて約40億円減少したものの、財政調整基金への積立金が前年度に比べて約104億円増加したことなどから、実質単年度収支は前年度と比べて約74億円増加した。そのため実質単年度収支が標準財政規模に占める割合は前年度に比べて1.11ポイント増加した。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2022年度)

分析欄

令和4年度は、昨年度から引き続き、全会計が黒字会計のため、連結実質赤字比率は発生していない。前年度と比べると、標準財政規模に対する実質収支額と資金剰余額の合計額の割合については1.52ポイント減少している。これは、一般会計や介護保険会計等において実質収支額が減少したことや水道事業会計等において資金剰余額が減少したこと等によるものである。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。

実質公債費比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

令和4年度の実質公債費比率の分子は、前年度と比べると、約15億円減少している。これは、元利償還金や減債基金積立不足算定額が減少したこと等による。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2022年度)

分析欄

令和4年度の将来負担比率の分子は、前年度と比べると、約406億円減少している。これは、債務負担行為に基づく支出予定額の減少等による将来負担額の減少や充当可能基金の増加等による充当可能財源等の増加による。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。

基金残高に係る経年分析(2022年度)

基金全体

(増減理由)財政調整基金やその他特定目的基金の大規模施設整備積立基金、アジア・アジアパラ競技大会基金へ積立てをしたことなどにより、基金全体の残高は前年度に比べて約320億円増加した。(今後の方針)各基金の設置目的に基づき、事業の進捗に応じて毎年度の予算編成において積立て及び取崩しの検討を行っていく。

財政調整基金

(増減理由)一般会計歳計剰余金の基金編入や今後の財政需要に対応するための積立てなどにより、財政調整基金残高は約170億円増加した。(今後の方針)財政規律で定めた「財政調整基金の積立額100億円を目指す」という目標を念頭に置き、長期的な視点に立った健全な財政運営に努めていく。

減債基金

(増減理由)基金運用益の積立により、減債基金は前年度と比べて約4億円増加している。(今後の方針)各年度の公債の償還の財源に充てるために必要な積立て及び取崩しを行っていく。

その他特定目的基金

(基金の使途)大規模施設整備積立基金:大規模な施設の整備を推進するための資金リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金:リニア中央新幹線開業に関連する名古屋駅周辺地区まちづくり等を推進するための資金アジア・アジアパラ競技大会基金:第20回アジア競技大会及び第5回アジアパラ競技大会開催のための資金市営住宅等管理運営等基金:市営住宅等持続的かつ安定的な管理運営及び徴収した敷金の管理のための資金国際交流事業積立基金:国際交流事業を推進するための資金(増減理由)大規模施設整備積立基金は今後増加が想定される大規模な施設整備の財源とするため、積立てを行ったこと等により、令和4年度の基金残高は前年度と比べて約148億円増加した。アジア・アジアパラ競技大会基金は令和8年度の大会を開催する資金に充てるため、積立てを行ったこと等により、令和4年度の基金残高は前年度と比べて約20億円増加した。(今後の方針)リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金は令和9年以降とされているリニア中央新幹線開業に向けたまちづくりの推進を着実に図るため、それまでの間に取崩し額の増加が見込まれる。アジア・アジアパラ競技大会基金は、大会運営費など主催者負担軽費の財政負担を平準化するため、今後更なる積立てを進め、令和8年度の第20回アジア競技大会及び第5回アジアパラ競技大会の開催に向け、全額を取り崩す予定である。大規模施設整備積立基金は、今後の大規模な投資に対応するため、取崩し額の増加が見込まれる。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本市の公共施設は、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、築年数の経過により有形固定資産減価償却率が高い状況となっている。そのため、現在、市設建築物については、従来の築40年程度での改築から、建築物の構造体の耐久性に応じて築60年から80年程度へと長寿命化を進めている。また、公共土木施設である道路及び橋りょうについても、計画的な点検に基づき補修等を実施することにより長寿命化を進めている。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は類似団体内で比較して平均的な数値となっている。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率及び有形固定資産減価償却率ともに、類似団体内平均と比べ高い水準にある。将来負担比率については、充当可能基金額の増加等により減少してきた一方で、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にある。これの主な要因としては、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、築年数の年数の経過によるものである。現在、市設建築物については、従来の築40年程度での改築から、建築物の構造体の耐久性に応じて築60年から80年程度へと長寿命化を進めており、必要な対策は実施できるよう努めていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率は類似団体内平均値と比べ高い水準にある。これは、地方債残高が増加傾向にあるものの、それを上回る充当可能基金の増加等により減少しているものである。一方、実質公債費比率については、類似団体内平均値と同水準になっているが、これは、標準税収入額等の増加により分母となる標準財政規模が増加したことに加え、分子となる地方債の元利償還金が減少したこと等によるものである。予算編成にあたり作成している中期的な財政見通しでは、今後は地方債元利償還額が増加すると見込んでいることから、世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

多くの施設類型において、一人当たり延長・面積・有形固定資産(償却資産)額は、類似団体平均より小さく一人当たりで見るとストック量が多い団体ではない。施設の管理・更新のための財源は限られているものの、施設を健全な状態で維持管理し、適切なサービスを提供していく必要があるため、施設の長寿命化に取り組んでいるが、結果的に有形固定資産減価償却率も高くならざるを得ない。主な施設類型別の分析としては、・道路については、舗装体全体の更新に代えて、切削オーバーレイ等による舗装の長寿命化を図っていることにより償却率が高くなっている。・公営住宅については、一人当たり面積は類似団体内で大きいが、昭和30年代から50年代にかけて多く建築された住宅について近年順次建て替えを進めていることから、償却率は類似団体内で平均的な水準に留まっているものと考える。・幼稚園、保育園、学校施設などの償却率については、昭和40年代から60年代にかけて、特に50年代に整備された施設が多いことから、高い水準となっている。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

・一般廃棄物処理施設については、一人当たり有形固定資産(償却資産)額は高い水準となっているが、令和2年度にごみ処理施設の新設・設備更新が行われたため、償却資産額はさらに高い水準となるとともに償却率に関しては低くなっている。・福祉施設の償却率については、その大半を占める福祉会館に昭和40年代に整備された施設が多いことから、高い水準となっている。・消防施設の償却率については、消防署及び出張所に昭和40年代から60年代にかけて整備された施設が多いことから、高い水準となっている。今後とも、「名古屋市公共施設等総合管理計画」に基づき、施設の長寿命化による経費の抑制と平準化を進めるとともに、市設建築物の保有資産量の適正化に取り組んでいく。

財務書類に関する情報①(2022年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

◆一般:資産総額は71,100百万円の増となった。金額の変動が大きいものは事業用資産と基金であり、事業用資産は、主に建物の取得額が、減価償却による資産の減少を上回ったことなどから22,272百万円増加し、基金は、将来の大規模な施設整備のための基金等により基金(固定資産)27,935百万円、基金(流動資産)26,652百万円増加した。資産総額のうち有形固定資産の割合が77.5%となっており、これらの資産は将来の維持管理・更新等の支出を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の長寿命化や集約化・複合化など公共施設の適正管理に努める。また、負債総額は前年度から19,491百万円の増加(+1%)となった。金額の変動が最も大きいものは地方債(固定負債)であり、18,954百万円増加した。◆全体:水道事業会計、下水道事業会計等を加えた全体では、資産総額は51,360百万円増加し、負債総額は4,143百万円増加となった。資産総額は、上水道管、下水道管等のインフラ資産を計上していることなどにより、一般会計等と比べて1,941,023百万円多いが、負債総額も1,265,519百万円多くなっている◆連結:名古屋市住宅供給公社、愛知県後期高齢者医療広域連合等を加えた連結では、資産総額は6,741百万円増加し、負債総額は56,966百万円減少となった。資産総額は一般会計等と比べて3,214,066百万円多いが、負債総額も1,814,765百万円多くなっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

◆一般:経常費用は1,221,114百万円(前年度比+24,340百万円)であり、そのうち人件費等の業務費用は608,048百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は613,066百万円と移転費用の方が多い。最も金額が大きいのは社会保障給付347,795百万円(前年度比+11,979百万円)となっており、本市においても今後高齢化の進展などにより、この傾向が続くことが見込まれるため、事業見直しなどの行政改革への取組を通して経費の抑制に努める。◆全体:一般会計等に比べて、地下鉄料金や水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が157,683百万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が449,101百万円多くなり、純行政コストは486,611百万円多くなっている。◆連結:一般会計等に比べて、連結対象企業等の事業収益を計上しているため、経常収益が361,982百万円多くなっている一方、社会保障給付が271,394百万円多くなっているなど、移転費用が670,631百万円多くなり、純行政コストは702,528百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

◆一般:税収等の財源(1,136,574百万円)が純行政コスト(1,118,352百万円)を上回ったことから、本年度差額は18,222百万円(前年度比+22,498百万円)となり、純資産残高は51,609百万円の増加となった。◆全体:国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険料や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が254,152百万円多くなっており、本年度差額は11,701百万円となり、純資産残高は47,216百万円の増加となった。◆連結:愛知県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等に比べて財源が714,074百万円多くなっており、本年度額は29,768百万円となり、純資産残高は63,707百万円の増加となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

◆一般:業務活動収支は40,939百万円であったが、投資活動収支については▲58,832百万円となっている。財務活動収支については、地方債の発行額が地方債償還支出を上回ったことから、15,660百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から2,233百万円減少し、15,857百万円となった。◆全体:国民健康保険料や介護保険料が税収等収入に含まれること、地下鉄料金や水道料金等の使用料及び手数料収入があることなどから、業務活動収支は一般会計等より73,953百万円多い114,892百万円となっている。投資活動収支については▲112,403百万円となっている。財務活動収支は、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、▲12,137百万円となり、本年度末資金残高は前年度から9,648百万円減少し、9,692百万円となった。◆連結:業務活動収支は一般会計等より156,071百万円多い、197,010百万円となった。投資活動収支については▲106,671百万円なっている。財務活動収支は、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、▲37,260百万円なり、本年度末資金残高は前年度から53,079百万円増加し、75,011百万円となった。

財務書類に関する情報②(2022年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

◆有形固定資産減価償却率は類似団体平均を上回っているが、これは本市の公共施設は昭和30年第以降の高度経済成長期にその多くを整備してきたことによる年数の経過と現在施設の長寿命化を進めていることによるものと考える。◆住民一人あたり資産額、歳入額対資産比率のいずれも類似団体平均を下回っているが、有形固定資産減価償却率が示すように減価償却により資産価額が減少していることなどによるものと考える。◆今後も公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設の長寿命化や集約化・複合化など公共施設の適正管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

◆純資産比率は類似団体平均を下回っているが純資産は増加傾向にあることから過去及び現役世代の負担により将来世代が利用可能な資産を蓄積している状態といえる。◆将来負担比率は類似団体平均を上回っているがこれは、市債を活用した都市基盤整備を進めてきたことによるものと考える。今後とも、将来世代に過度な負担を残さないよう財政規律に配慮し、計画的な財政運営に努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

◆住民1人当たり行政コストは、類似団体平均とほぼ同じ状態が続いている。そのため、住民サービスの提供に類似団体と同様の経費が掛かっている考える。しかし、経常費用の2割強を占める社会保障給付は、今後の伸びが見込まれるため、事務事業の見直しなど行財政改革への取組を通じて、財源確保に努める。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

◆住民1人あたり負債額は、類似団体平均を下回っているが負債額としては増加傾向となっている。老朽化した施設の改修に伴う増のほか、令和8年度のアジア・アジアパラ大会の開催を控え会場施設の新築・改修が進んでいることから地方債が増加しており、負債の増につながっていると考える。◆基礎的財政収支は黒字となっており、類似団体平均を上回っている。しかし、業務支出の3割を占める社会保障給付支出は今後の伸びが見込まれるため、事務事業の見直しなど行財政改革への取組を通じて、財源確保に努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

◆受益者負担比率は、類似団体平均を上回っている状況にある。これは公共施設の持続的・安定的な運営を続けていくため、施設の性格に応じた公的関与の度合いや収益性などを考慮した管理運営費と使用料との関係について基準を策定し、この基準に基づいて運営を行っていることによるものと考える。今後も公共施設等総合計画に基づき、老朽化した施設の長寿命化や集約化・複合化など経常費用の削減に努めるとともに、負担の公平性・公正性に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,