経営の健全性・効率性について
R01の経常収支と比較すると、水道の有収水量増に伴う下水道使用料が増となった一方で、一般会計繰入金の抑制を図ったことなどから、特別利益を除く総収益は減となっている。総費用については、企業債の完済が進んでいることから支払利息が減となった一方で、流域下水道維持管理負担金の増などにより総費用が増となり、収支としては純利益となっている。このことから、「経常収支比率」は、一般会計繰入金の抑制を図ったことなどから、R01から1.94ポイント減の107.42%となったが、「経費回収率」ともに依然として100%を超え類似団体より高く推移しており、安定した経営状況であると考える。また、「汚水処理原価」については、平成29年度決算統計における公費負担分の考え方の変更により、平成29年度から大幅に増加しているが、R01と比較すると有収水量の増加率が総費用の増加率よりも大きかったことから、3.68円減の148.61円となっており、年々減少している。「企業債残高対事業規模比率」については、今後も企業債の完済が進むことで減少傾向は続くと考えられるが、将来の大きな負担とならないよう、中長期的な投資計画を立て、持続可能な下水道事業の経営に努める必要があると考える。「流動比率」についても、大口の企業債償還のピークが過ぎていることから、H29から年々増加し、類似団体を上回っていることから、資金力は問題ないと判断する。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は、減価償却が進むことにより、上昇していく見込みである。「管渠老朽化率」については、現在のところ、法定耐用年数を超えた管渠がないため、老朽化率は0であるが、公共下水道(汚水施設)の整備については、中期経営計画に基づき、施設の長寿命化やコスト削減を図りながら計画的かつ効率的な施設の点検・調査、修繕・改築を実施していることから、今後は法定耐用年数を経過した管渠が存在することが想定される。「管渠改善率」については、現在、中期経営計画に基づき汚水施設のストックマネジメント事業や雨水管の長寿命化事業を計画的に推進している。
全体総括
近年は安定した経営が続いていると考えているが、今後は、これまで構築してきた膨大な資産を、より長く、より安全に保持することと、近年の異常気象に伴う雨水浸水被害への対策が課題となっていることから、引き続き、中長期的な視野をもって効率的かつ効果的な下水道事業を運営するため、適宜、投資・財政計画を見直し、長期的に安定した経営を行えるように努める必要がある。また、今後の人口減少に伴う収益の減少も見込まれることから、事業の必要性や実施時期等を的確に把握した財政収支見通しを立て、下水道使用料の在り方についても検証していく必要がある