経営の健全性・効率性について
農業集落排水事業は、漁業集落排水、小規模集合排水事業と同一会計で運営を行っている。経営状況としては、料金体系が負担の公平性の観点から公共下水道と同一となっていることから、使用料収入等の自主財源で維持管理経費を賄う事ができず、市債償還額の不足分をあわせた収支不足額を一般会計繰入金により措置することで収支均衡としている。①収益的収支比率は、総収益中の一般会計繰入金が増加し、比率の算定外となる資本費平準化債借入額が減少したこと等により、平成28年度から0.30ポイント向上し、69.28%となった。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価は、いずれも類似団体平均に対して上位となっているが、平成28年度に比べ維持管理経費等の増により数値は昨年度から悪化している。⑦施設利用率は平成29年度から新たに1地区が供用を開始した影響等もあり、0.43ポイント低下している。⑧水洗化率は平成28年度から0.46ポイント向上し、類似団体平均も上回っている。引き続き接続促進等、水洗化率の向上を図り、収入確保と効率的運営に努めていく必要がある。
老朽化の状況について
本事業は、市内に38箇所の処理場を抱えており、これらの施設の中には供用開始後30年を経過した施設も存在している。処理場等の施設及び機器類については、老朽化の状況に応じ順次修繕、機器更新を行っている。また、管渠については現在耐用年数を経過するものはないが、管路調査等により判明した不良個所について更生工事を行っている。今後、施設の更新期を迎えるにあたり、将来にわたる更新コストの抑制、効率的な施設運営を行うため、施設の機能診断、公共下水道に隣接する施設の公共下水道への接続及び施設の統廃合の検討を行い、計画的な更新、長寿命化を図っていく必要がある。
全体総括
本市の農業集落排水事業は、平成28年度に新設事業を完了したところである。本事業は、比較的小規模な施設が市内に点在しており、老朽化の進んでいる施設もあるため、経費の節減に努めるほか、施設の統廃合、更新及び長寿命化を進め、効率的な管理運営を図っていく必要がある。また、農業集落排水事業は平成31年度に公共下水道事業等と共に地方公営企業法を適用し、企業会計に移行する予定である。移行後は、財政状況や経営状況の的確な把握に努め、経営改善を図っていく予定である。