経営の健全性・効率性について
平成28年度から地方公営企業法を全部適用したため、平成27年度以前の数値の計上はない。経常収支比率については、横ばいを維持している。収益については、下水道使用料収益は、整備を進めているため増加しているが、補助金、長期前受金戻入など他の収益が落ちている。費用については、利率の高い企業債の償還が順次終了していることから支払利息が減少していっている。本市では、一般会計からの補助金収入により収支均衡を図っている状態である。なお、経常収支比率は100%を超えているが、資本的収支もあわせて収支均衡を図っていることから、資本的収支(建設改良費等)への補填により、資金の余剰は発生していない。流動比率についても、変動はなくほぼ同様の数値をたどっている。3月は企業債の償還があることから、年度末時点の資金残高は毎年小さくなり、流動比率を小さくする要因となっている。企業債残高対事業規模比率は減少傾向であり、これは企業債の償還額が借入額を上回っていることから、企業債残高が減少していることに伴い当該比率も減少しているものである。経費回収率には大きな変化は見られない。汚水処理原価は、流域下水道維持管理費負担金が増加してきていることもあり、微増となってきている。水洗化率は、人口が減少している中、年々増加傾向で推移している。新規整備による整備済人口の増や、整備済地域への啓発など促進活動を継続的に行っていることが、増加につながっていると考えられる。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類似団体平均値と比較すると小さく、耐用年数に近い資産は少ない。これは、本市では昭和50年代後半に下水道整備が本格化した経過があるため、開発時期によるものと考えられる。管路老朽化率は、平成29年度から本市で最初に整備された管が老朽化(50年経過)を迎えるため、同年度から数値が増加している。管渠改善率は、低下しているが、未整備地区への整備を行っている。
全体総括
本市では、生活排水100%適正処理を早期に達成するために、公共下水道事業と浄化槽整備推進事業(特定地域生活排水処理施設)の2つの手法を活用し、生活排水処理施設の整備を進めている。必要以上の投資を抑制し、効率性の高い浄化槽を併用することで、本市の生活排水対策全体の財政リスクの低減を図っている。このほか、事業の広域化に取り組んでおり、他の地方公共団体と協議会を開催した。本市において、他団体の計画策定業務の委託を行う予定であり、今後も広域化する業務を拡げていく予定である。また、PFI方式により、誤接続調査及び管更生を行い、民間の能力を活用しつつ、効率的に事業を進めていく。令和元年度では経営戦略を策定し、今後も安定した経営の維持をめざし、検討を進める必要がある。