経営の健全性・効率性について
令和元年度は、地方公営企業会計への移行初年度であったため、従前よりも経営状況が明確になった。経常収支比率は102.53%となり、類似団体平均値の106.32%よりは低いものの、経常収支で黒字を計上することができた。流動比率は償還金がピークを迎えた翌年度償還の建設改良企業債の計上により24.85%となり、類似団体平均値の71.54%大きく下回っている。企業債残高対事業規模比率は1,164.98%となり、事業開始当初の大規模投資分の企業債が残っているため、類似団体平均値の約1.8倍となった。経費回収率は110.02%で、平成30年4月の下水道使用料の改定等の影響により、類似団体平均値88.05%よりも高い数値となっており、汚水処理に係る経費を下水道使用料で賄えている。汚水処理原価は124.05円となり、類似団体平均値141.15円よりも低い数値であり、有収水量1㎥当たりの汚水処理に係る経費は低く抑えられている。なお、施設利用率については、単独処理場を設置していないため、当該値を計上していない。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、令和元年度から地方公営企業法を適用し、令和元年度決算で初めて減価償却累計額を計上したため、類似団体平均値よりも低くなっている。管渠老朽化率は0.00%になっているが、汚水管渠は供用開始後30年程度であり、法定耐用年数を経過した管渠は存在しないためである。管渠改善率は0.00%になっているが、汚水管渠は供用開始後30年程度と著しい劣化は見られないためである。地域条件によっては劣化が進行している管渠もあることから、それらの管渠については、順次改築更新を行っていく。供用開始から30年以上経過するポンプ場については、ストックマネジメント計画に基づき改築更新を行っている。
全体総括
令和元年度は、地方公営企業会計への移行初年度であり、従前よりも経営状況が明確になるとともに、適切な資産及び負債の把握が可能となった。令和元年度決算では収益的収支で最終黒字を計上することができたが、今後は、下水道施設の整備及び更新に伴う減価償却費の増加、流域下水道維持管理負担金の増加、事業開始当初の企業債償還金が令和4年頃まで高水準で継続すること等により、厳しい経営が続く見込みである。その中で、今後も下水道サービスを持続できるよう効率的な事業運営を目指すため、令和2年度から令和11年度までを計画期間とする「第4次貝塚市中長期下水道整備計画」及び「貝塚市下水道事業経営戦略」に基づき、計画的な整備・改築更新を進めるとともに、更なる経費の節減、安定的な収入の確保に努め、収支改善に向けた取組みを着実に進めていく。