経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、平成24年度から28年度まで95~97%台で推移してきた。平成29年度における総収益の内、実繰入額は前年度比約42%減少、総費用はほぼ前年並みに対し地方債償還金は約34%減少となったことが影響し収益的収支比率は86%台となった。依然として100%未満であるため実質赤字経営となっているのが現状である。④企業債残高対事業規模比率は、平均値、全国平均とも大幅に下回っており現在のところ適切な数値となっている。しかしながら、既設管路等における法定耐用年数が近づき老朽化してきているのが現実であるため、今後において多額の修繕費用が必要となる。このため、企業債借入も避けられないため当比率も上昇していくものと推測される。将来的な使用料金の見直しも見据え、健全経営を図っていく必要がある。⑤経費回収率は26年度まで汚水処理費の増加により年々減少傾向にあった。平成27年度から人件費の減額等により60%台で推移している。平均値を若干下回り、全国平均を若干上回ってはいるが、現段階では使用料で回収すべき経費を全て使用料で賄えていないのが現状である。⑥汚水処理原価は前年に比べ平均値を上回ったものの、全国平均を下回った。H29は前年比3.33円上回ったが本年度分から新たに資本費分の汚水処理費を計上したことに起因するものであり、年間有収水量は前年度比約3%減と大きな変動は無いため効率的な汚水処理が実施されている。⑦施設利用率は平均値、全国平均を大きく上回っており適切な施設規模となっている。⑧平成30年3月末現在の水洗化率は96.74%で、年々上昇傾向であり安定した使用料収入が確保されている。
老朽化の状況について
①処理場2施設当初整備期間昭和59年度~昭和62年度機能強化実施期間平成9~10年度平成25~29年度②汚水管整備期間昭和58年度~昭和61年度供用開始昭和63年3月整備全延長17,861m経年管延長30年以上17,088m95.7%25~29年0m0%20~24年55.9m0.3%15~19年42.1m0.2%10~14年675m3.8%9年以下0m0%
全体総括
当町における農業集落排水施設は、2箇所の処理場と汚水管渠を有している。この内、処理場においては、平成25~29年度にかけ全事業費の1/2を企業債を財源とし更新事業を実施したところである。一方、汚水管渠については経年劣化による老朽化や法定耐用年数を控え更新が必要となることは確実であることから、平成30年度より更新計画を策定するための調査を実施することとしている。以上から、今後において企業債残高も再び増加に転じると予想される。このような中、健全な経営を行っていくため公営企業会計適用に向けた取り組みと合わせH28で策定した経営戦略の見直しを行いつつ、更新計画の策定に向けた調査等の取り組みを継続し実施していく。料金収入の確保については、人口減少により現行での使用料収入の大幅な増加は見込めないため、前段に示す取り組みの中で安定した経営が図れるよう使用料金の見直しを検討していく。水洗化の取り組みについては、「水循環・資源循環のみち2015構想」平成42年度目標値98%を目指し住民への周知を継続実施していく。