経営の健全性・効率性について
経常収支比率が100%を下回る状態が続き、累積欠損金比率が伸び続けていることから、健全な経営とは言い難いが、流動比率が100%を超えおり支払い能力が十分あることから短期的な観点で見ると経営に問題はない。繰入元の一般会計にも余裕がないため、単年度キャッシュを重視した経営のやりくりとし、繰入金を抑えているため、経常収支比率が毎年度低くなるのはやむを得ない。また、それによって累積欠損金が増加していることもやむを得ず、現在の方針で行くと解消する見込みもない。汚水処理原価が増加したことは統計数値の扱い方を精査したためである。それによって、経費回収率が減少した。今後、施設の統廃合が予定されているので、それに伴いさらに増減する見通しである。施設利用率が平均より低いが、現状では日最大水量から見ると施設利用率は100%近くになるため、安定した放流水質を保つ上では現状の安全率が適正であると言える。水洗化率や施設利用率も高く安定していることから、今後は将来に向けて長期的な更新計画及び経営計画を検討する必要がある。その将来に向けた計画の財源の基本となるのが、使用料収入・一般会計繰入金・国からの補助金・企業債などが考えられ、そのすべてを十分に活用する必要があるが、使用料は過去数回の値上げにより、高い水準にあるため、今後検討はするものの、大きな増加は期待できない。
老朽化の状況について
全体的に老朽化が進んでいるが、標準耐用年数を超えるような管路は存在せず、しばらくは処理場施設などの老朽化対策を講じる時期と言える。
全体総括
赤字経営が続いて資金が留保されにくい状況であり、将来訪れる大量更新時期に対する備えは不十分である。事実上、国の補助金や一般会計からの繰入金に依存した経営となっているが、そのことも踏まえて、持続可能で実現可能な更新計画の策定が必要である。過去における大量投資により構築した下水道というインフラを、未来に継続していくために現有資産を同じような形式で更新していくという計画では、人口減少社会でもある昨今の情勢を鑑みると、財政的に厳しくなることは目に見えている。地中に埋められている大量の下水道管渠を開削することなく更生・更新するような技術の開発にも期待する。また、人口密度が薄い地域においては、下水道の区域から外して、合併浄化槽で対応するような抜本的な改革も検討する必要がある。