経営の健全性・効率性について
企業債の償還がピークを過ぎ、⑥汚水処理原価が低下傾向にあること、また、⑧水洗化率が上昇傾向にあることから、①経常収支比率、⑤経費回収比率ともに改善が見られ、経営は概ね順調に推移しています。今後は、人口減少による処理水量の減少に対応していく必要がある一方で、合併地区ごとに料金体系が異なるなどの事業運営上の課題もあり、料金体系の統一化を含めた適正な使用料のあり方や広域化による施設の効率的利用などについて、経営審議会に諮りながら、さらに具体的な検討を進めていく必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、全国平均や類似団体平均値と比較して高くなっています。処理場などの施設は、早くから供用を開始したことが要因として挙げられるため、今後、電気・機械設備を中心に、予防保全型の維持管理とともに、計画的に改築・更新を行います。また、管渠老朽化率は、ほぼ類似団体平均並みで、経年比較においても年々上昇傾向にあります。管渠改善率も、ほぼ類似団体平均並みではありますが、事業財源を国の交付金等に依存しており、今後の事業進捗も不透明な要素を含んでいます。
全体総括
節水型機器の普及、超少子高齢型人口減少社会の進展により、今後、有収水量の伸びは期待できず、下水道使用料収入は減少することが予測されます。一方、増加が見込まれる老朽化した施設の更新や耐震化・耐水化への投資、さらにはDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けたシステム改修費用やキャッシュレス決済導入に伴う手数料の増加など、多額の資金が必要になります。今後は、より持続可能な下水道事業を目指し、処理過程で発生する消化ガスによる発電事業や太陽光発電事業によって、環境に配慮した施設の運営に注力するとともに、これらの発電による購入電力料金の削減と売電事業による安定的な収益の確保、また適切な施設規模による投資の効率化、新たなICTの導入による維持管理業務の省力化・最適化など、最先端の技術を取り入れながら、長期的な視点に立った事業経営に取り組みます。