経営の健全性・効率性について
令和3年度の下水道事業は、現時点では前年度に続き健全経営が維持されていると判断している。経常収支比率は100%を超え、単年度の収支が黒字の状態にある。累積欠損金は発生しておらず、流動比率は100%を超え、1年以内の債務に対して支払うことのできる現金等を保有している。使用料収入に対する企業債残高の割合も類似団体の水準を大きく下回っている。経費回収率は100%を超えており、使用料で回収すべき経費を使用料で賄えている。前年度に比べ委託料、修繕費等の汚水処理に係る費用が増加していることから、今後も使用料で汚水処理費を賄うためには経費の節減が必要となる。汚水処理原価は類似団体と比較して低く、良好な状況を保っている。施設利用率も望ましいとされる高い数値を保っており、水洗化率もほぼ100%に近い状態となっている。
老朽化の状況について
令和3年度の有形固定資産減価償却率は53.83%となっている。この数値は全国平均や類似団体と比較して高く、法定耐用年数に近い資産が多く将来的に施設の更新が必要であることを示している。管渠老朽化率は前年度から2.45%上昇した。法定耐用年数を経過する管渠は今後も出てくるが、維持修繕が中心となるため、数値は上昇していくものと予測される。管渠改善率は令和3年度0.30%と全国平均や類似団体を上回った。計画的に管の状態を調査し、その結果に応じて修繕、管更生又は布設替えを行い、耐用年数を超えたものも機能を維持しながら活用していく。
全体総括
下水道事業は現時点では健全な経営状態にある。令和3年度は経常収支比率、経費回収率ともに前年度を下回った。今後、人口減少や節水機器の普及により処理水量が減り、使用料収入は減少していくため、更に厳しい状況が見込まれる。一方で、管渠をはじめ老朽化が進む施設の維持・更新は計画的に行う必要がある。年度毎の事業費の平準化を図りながら、適切な投資を行っていく。今後も、令和元年度から10年間を計画期間とする上下水道ビジョンにおける長期的な収支見通しに基づき、引き続き効率的化等により費用の圧縮に努め、使用料収入と企業債の借入れとのバランスを取りながら、より一層健全な経営を目指していく。