経営の健全性・効率性について
経常収支比率は一般会計の繰入金により、100%を上回っているが、経費回収率は100%を下回っており、下水道使用料で維持管理費や支払利息等の費用が賄えていない状況である。令和元年度の下水道使用料改定により、経費回収率は91.42%に改善したが、類似団体平均値と比較して8.9P低い。今後は平成30年度に供用開始を行った志登茂川処理区の水洗化率が増加する見込みであるが、更なる費用縮減と下水道使用料の見直しが必要である。流動比率は100%を下回っており、1年以内に支払わなければいけない負債を賄えていない。また、類似団体平均値と比較して25.3P下回っている。流動負債の約8割は建設改良費等の財源に充てるための企業債であり、普及率の向上に努めている状況である。企業債残高対事業規模比率は令和元年度の下水道使用料改定による使用料収入の増加および企業債現在高の減少により下がっているが、類似団体平均値と比較して1000P以上高く、更なる収益の確保が必要である。施設利用率は、類似団体平均値と比較して29.22P下回っている。これは整備の遅れから普及率が低いことが要因であり、計画的に下水道整備を推進する必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値を16.65P下回っており、資産の老朽度が低いことを示しているが、これは地方公営企業法の適用開始が平成27年度であり、計上が平成27年度から始まったことに起因する。対前年度比2.35P増加しているように、今後は増加傾向である。管渠老朽化率は、類似団体平均値を1.28P上回っている。これは下水道計画区域内の整備の遅れから拡張を優先していることが主な要因であり、今後は計画的な更新を進める必要がある。
全体総括
令和元年度の下水道使用料改定により、企業債残高対事業規模比率および経費回収率は好転したものの、多くの指標において類似団体と比較して不良であり、一般会計繰入金に依存した厳しい経営状況が続いている。今後は水洗化率の向上により、経費回収率が好転していく見込みであるが、適切な下水道使用料についても改めて見直す必要がある。管渠老朽化率が示すように、類似団体と比較して老朽度が高い現状であり、管渠改善率も低いため、今後、計画的な更新を進める必要がある。