経営の健全性・効率性について
直近5年間において、経常収支は黒字を継続しており、累積欠損金は発生していません。汚水処理原価は年々減少傾向であり、経費回収率は100%を上回る状況です。さらに、企業債残高対事業規模比率は、全国平均や類似団体平均値より低い水準で推移し、経年比較でも年々減少しています。また、水洗化率は98%以上となっております。未水洗世帯に対しては、戸別訪問により水洗化に向けた課題を整理するとともに、融資制度や補助制度の活用など、引き続き水洗化の促進を図ります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、全国平均や類似団体平均値と比較して高くなっています。処理場などの施設は、早くから供用を開始したことによる影響が考えられますが、電気・機械設備を中心に、予防保全型の維持管理とともに、計画的に改築・更新を行っています。また、管渠老朽化率は、類似団体平均値と比べて高く、経年比較でも年々上昇傾向にあります。一方、管渠改善率は低い水準にとどまり、主要な財源である国費の交付状況により、事業を先送りした経過があります。今後、更新等に必要な財源を確保しながら、ストックマネジメントの手法により、耐震化とあわせた更新計画の見直しを行う予定です。※ストックマネジメント長期的な視点で施設全体の老朽化を考慮し、リスク評価等による優先順位付けで改築・更新を行う手法
全体総括
これまで、行政改革による経費削減や高金利企業債の借換えによる利息を低減させる取組みなどにより、健全経営に努めてまいりました。しかし、節水型機器の普及や、超少子高齢型人口減少社会の進展により、将来にわたって有収水量の伸びは期待できず、下水道使用料収入は減少することが予測されます。その一方で、今後増加が見込まれる老朽化した施設の更新や耐震化への投資など、多額の資金が必要になります。下水道事業の健全経営を持続していくために、下水処理場において汚泥消化過程で発生するメタンガスを燃料とした消化ガス発電による購入電力料金の削減や売電事業による収益の確保、適切な施設規模による投資の効率化、更新投資等に充てる財源とするため国からの交付金を積極的に取り込むとともに企業債の有効活用など、長期展望に立った事業経営に取り組んでいきます。