経営の健全性・効率性について
山梨市簡易水道事業は令和2年度から地方公営企業法の適用を受け、公営企業会計となった。令和2年度決算では経常収支比率が「100.58%」と、経常収支は黒字であったが、特別損失を差し引くと純損失となり、未処理欠損金が発生し、累積欠損比率が「1.36%」となっている。適切な料金改定や費用の削減により、黒字化を目指し、欠損金の解消に努めていく必要がある。流動比率が「10.50%」と類似団体平均値よりも著しく低くなっているが、これは企業会計開始当初に所有している現金が0円であったことに対し、企業債残高を負債としてすべて引き継いだためである。企業債残高対給水収益比率も同様の理由で「3138.36%」と高い数値となっている。料金回収率は「26.74%」、給水原価は「637.69円」と類似団体と比較して費用がかかっている状態である。適切な料金改定による回収率の上昇を目指すほか、投資の効率化等による維持管理費の削減を行う必要がある。施設利用率は「37.31%」と類似団体と比べ低い状態にある。今後の水需要に合わせてダウンサイジングを検討し、経営の効率化を図る必要がある。有収率は「80.50%」と類似団体平均や全国平均をわずかに上回っており、今後も計画的な管路更新やメーター交換を行い、良好な有収率が維持できるように努めていく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は「3.85%」と低いが、これは法適用初年度で有形固定資産減価償却累計額が0の状態で会計を開始したためである。管路経年化率は「9.07%」と類似団体平均、全国平均を大きく下回っており、計画的な更新ができている状態であると言える。管路更新率が「0%」であるが、これは令和元年度の台風により被災した施設の復旧に投資を充てているためである。
全体総括
法適用初年度において、特別会計から引き継いだ負債や発生した欠損金の解消のため、適切な料金の改定や、ダウンサイジング等の検討による費用の削減を行い、経営の改善を行っていく必要がある。