経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、21年度の料金改定以降、黒字を示す100%以上を維持しており、類似団体平均と同様に逓増傾向である。これにより、20年度末にあった21億円余の累積欠損金は26年度末をもって解消した。費用の効率性を表す汚水処理原価および経費回収率については、平成29年度の決算統計から一般会計から繰り入れる分流式経費の積算方法が変更となったことにより大きく変動しており、28年度以前とは比較できない。このほか、平均的な施設の効率性を表す施設利用率は、類似団体平均を大きく下回っているため、農村下水道の1処理区の統合により、効率化を図る予定である。本市の下水道事業は、短期間で集中的な整備を行ってきた結果、普及率は高い反面、企業債残高が類似団体平均を大きく上回っている。しかし、国の制度を利用した繰上償還の実施などによって着実に残高は減少しており、建設投資の厳選と合わせ、今後も縮減を進めていく予定である。
老朽化の状況について
施設の減価償却については、法定耐用年数の短い機械・電気設備を中心に、類似団体平均を上回る数値となっている。一方、管渠については、整備開始時期が比較的最近のため、耐用年数を超えたものはそれほど多くはない。水道事業と同じく、水需要の減少から使用料収入が減少する中、施設の老朽化はますます進んでいくことから、30年度から実施しているストックマネジメント計画に基づき、施設の効率的な改築更新を推進し、ライフサイクルコストの低減に努めていく。
全体総括
本市下水道事業は、27年度をもって計画的な面整備を完了し、今後は本格的な維持管理に取り組む必要がある。26年度末をもって累積欠損金を解消するなど、経営状況は概ね健全な状況にあると言えるが、多額の企業債残高を有するほか、施設の老朽化が進み、更新投資のための資金需要が増加することが予想される。汚水処理施設の包括委託化など、経営の効率化を進めているが、今後は、処理区域の見直しや施設のダウンサイジングなどを含め、一層の効率化に取り組む必要があると考えている。