経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率収益的収支比率は約100%となり,前年度より約4%上がっている。要因としては,地方公営企業法の適用に伴う打切決算により未払金が発生し,営業費用が減少したことによる。④企業債残高対事業規模率地方債残高は年々減少している。地方債償還金については,下水道使用料で賄えない部分を一般会計繰入金で賄っている状況にある。令和元年度末現在の残高は,前年度比△3.8%となり,今後も減少傾向にあるが,公営企業の独立採算の原則に従い,引き続き経営の合理化等,経費削減に努めていく必要がある。⑤経費回収率平成25年度以降,汚水処理費は下水道使用料で概ね賄えているため,比較的健全であると判断される。⑥汚水処理原価地方公営企業法の適用に伴う打切決算により未払金が発生したことで,大幅に費用が減少し,類似団体の平均値を下回る結果となった。今後は,施設の老朽化による更新費用の増加が予想されることから,さらに経営の効率性を高める必要がある。⑧水洗化率類似団体及び全国の平均値を上回っている。引き続き戸別訪問を中心に普及啓発活動を行い,水洗化率の向上に努める。
老朽化の状況について
昭和41年の整備開始から50年以上経過し,今後更新が必要となる施設・管渠等が年々増大することが懸念される。このため,平成30年度に策定した下水道施設全体の管理を最適化する下水道ストックマネジメント計画に基づき,計画的に施設改築等に取り組んでいる。引き続き,より的確な施設等の更新,持続的な下水道機能の確保を図っていくことが求められる。
全体総括
上記の経営指標から見ると,事業の経営は比較的健全であると判断される。現状では,公費で負担すべき費用を除く汚水処理費のほとんどが下水道使用料で賄えていることや,地方債償還金の減少により,さらなる経営状況の改善・効率化が期待されている。その一方で,一部施設が耐用年数の到来時期にきている現状において,今後,施設の老朽化に伴う更新投資の増大や,人口減少に伴う料金収入の減少が見込まれることから,経営戦略の策定や公営企業会計の適用を柱として,より一層の経営基盤の強化や財政マネジメントの向上を図る必要がある。