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令和4年度の指数については昨年度よりも微減、類似団体平均と比較すると引き続き下回った状態で推移している。4年度は、町の基幹産業であるホタテ養殖業は、昨年同様、例年並みに落ち着いてきている。一方で、普通交付税では、基準財政需要額では臨時財政対策債発行可能額の減と再算定による交付税の追加交付が影響し、昨年度比+4百万円円と算定されたこと、基準財政収入額では町民税の+20百万円が影響し、昨年度比+40百万円となっており、財政力指数としては増傾向ではあるが、3か年平均の影響により微減になっている。依然とし類似団体に比べ財政基盤が脆弱であると言わざるを得ないことから、今後も安定的な自主財源の確保に努めつつ、ふるさと納税制度の活用や、使用料・手数料等の適時適切な見直し等積極的な歳入確保に注力しなければならない。
令和4年度は経常収支比率が79.7%となり、3年度比2.1%の悪化となっている。歳出面で、公債費の増+62百万円、人事異動による昇給、消防団員の報酬増等による人件費で+23百万円、輸入燃料費高騰による、電気料の増による物件費の増+17百万円、更に歳入で臨時財政対策債の-115百万円により分子の増と分母の大幅な減の結果、比率が上回る形となった。類似団体比較においては、引き続き良好な状態を保っているものの、新庁舎へ更新後に発生する20年間のリース料による物件費の増、過疎債・緊防債等の借入額が大きな事業の償還が始まることで公債費の増や、下水道事業の法適化後の繰出金の増などと比率が上がっていくことが予想されるため、義務的経費の削減に努め、現在の水準を維持するよう努めていく。
人件費は、令和4年度決算額ベースで約1,024百万円となり、3年度比約+20百万円の増。対して物件費は3年度比+125百万円の増のため、物件費の増が影響される形となった。物件費は、主なものとして新型コロナウイルス対策用の庁舎備品の増+45百万円、電気料の高騰により+17百万円の増となった。人口減少の影響もあるが、物件費の大幅な増額により、人口一人当たりの決算額は3年度に比べて増加となり、4年度はかろうじて類似団体平均を下回る水準となった。人口減少やその年の動向等により左右されるが、適正な人員配置に努めながら、行政コストの圧縮を図り、現在の水準を維持していかなければならない。
ラスパイレス指数は、令和4年度において98.2となり、類似団体に比べ高い傾向が続いている。独自の給与カットはしていないものの、給与構造の見直しについては完全実施済みであり、15年度からは管理職手当の定額化により人件費を抑制している。特別昇給の是正も17年度に実施し、特殊勤務手当や地域手当についても該当していないため支給していない。また27年度からは給与制度の総合的見直しを実施しており、人件費抑制のために様々な取組を行っている。一方で高卒・短大卒採用者の昇格が他団体に比して早め(学歴等関係なく個人の能力により早まる場合がある)になっていることや、昇格が早まることで5級(指導監及び副指導監)職員の割合が年々増加傾向にあることがラスパイレス指数を高止まりさせている要因となっており、全体の職層のバランスを適正に調整しなければならない。
平成17~20年度までの間、定年退職者分について不補充としていた経緯もあり、集中改革プラン(平成17~21年度)の計画値を上回るペースで職員数が減少してきたが、平成21年度以降は毎年度5名程度の新規採用を行っており、また近年は病院事業の経営状況の改善のための職員採用等により、職員数は増加傾向となっている。令和2年度末に策定した定員管理計画(3~7年度の5ヶ年)においては、定年の段階的引上げによる定年退職者がいない年度があることを考慮し、最終年度における目標値を2年度職員数から+7名とした234名(+3.1%)で掲げている。類似団体平均に比べ職員数が少ない状況にあるため、人員の増調整はやむを得ないものと考えるが、一方で、全国平均や青森県平均に比べると高水準にあることから、行政サービスの質を維持しながらも、簡素で効率的な組織機構の構築に努め、より適正な人員配置や指定管理者制度等の導入によって引き続き適切な定員管理に努めなければならない。
実質公債費比率は、令和4年度において10.1%となり、3年度比0.5%の悪化となった。これは、分子の元利償還金の増+62百万円も大きいが、分母の臨時財政対策債振替相当額の減-115百万円が大きく比率を下げる要因となっている。類似団体比較においても、4年度は平均値を上回る数値となった。これまでの元利償還金の減少傾向は2年度を境に増加傾向へと転じている。過疎債・緊防債等の借入額の大きな事業の元金償還が3年度から始まっており、その他の老朽化した公共施設等の更新にかかる起債発行が見込まれていることから、当面の間、比率の悪化が懸念されるため、中長期的な財政見通しに基づき、公債費の動向を注視する必要がある。
将来負担比率は、令和4年度において71.4%となった。令和3年度比約1.7%の悪化となった。これは、地方債の現在高の伸びもあるが、臨時財政対策債-115百万円による標準財政規模の減で比率の分母が分子より大幅に減となったことによるものである。類似団体比較においても、引き続き高い水準で推移していることから、今後も事業の必要性、優先順位を考慮しながら事業を取捨選択し、公債費残高の減と基金積立額の増の両面から将来負担を軽減できるよう努める。
類似団体比較では、人口1,000人当たりの職員数及び人件費の経常収支比率ともに下回っている状態が続いている。経常的な人件費は、令和4年度決算ベース約809百万円で、3年度比約23百万円の増となった。主な要因としては昇給等による人事異動、消防団員報酬等の増によるものである。臨時財政対策債の減も合わせて0.9%の悪化となった。今後も人件費は大きな割合を占める経費であることから、適正な人員配置や再任用制度の運用、指定管理者制度の活用等を検討し、不断の努力により、行政コストの圧縮を図らなければならない。
物件費に係る経常収支比率は、経常的な物件費が令和3年度より約17百万円増額し、比率としては0.5%悪化する結果となっている。これは輸入燃料費高騰による灯油、電気料の増、融雪溝の保守点検委託料の増のためである。物件費に係る経常収支比率は類似団体の中で特に良好な状態ではあるが、専門的かつ細分化した業務に対応するために増加する外部委託経費など、今後も物件費を増大させる要因が数多くあるため、引き続き経費削減に努めていかなければならない。
扶助費については、昨年に比べやや上回ったものの類似団体平均とほぼ同水準の比率で推移している。経常的な経費は令和4年度決算ベース約229百万円で、令和3年度に比べ約9百万円増加し、比率として0.3%の増となっている。主な要因としては、重度心身障害者医療費+3百万円、児童手当+7百万円、臨時財政対策債の減等によるものである。今後も人口減少対策は継続的に実施する予定としており、扶助費に対する町負担は今後は増加傾向の見通しではあるが、必要経費と住民サービスとの費用対効果を見極めたうえで事業を実施していきたい。
令和4年度は前年よりは少なく、例年よりやや雪の多い年であったことから、維持補修費に係る経常経費は除排雪経費の減により、令和3年度に比べ約4百万円減しているが、経常収支比率としての増減はない。また繰出金については、主に後期高齢者医療特別会計、公共下水道事業特別会計等への繰出金が増額し、経常経費ベースで約2百万円の増であり、0.4%の増となっている。比率を上げる要因として、分母である臨時財政対策債の減も相まって上がっており、今後も除排雪経費はもちろん、交付税・臨時財政対策債等の国の動向を注視していく必要があると思われる。公営企業会計にあっては独立採算の原則に基づいた収入確保や適切な会計処理を求めながら繰出金を精査していく必要がある。
経常的な補助費等総額で令和3年度より約10百万円減額し、令和4年度の補助費等に係る経常収支比率は1.8%減により、類似団体平均を下回った。主な要因として、青森地域広域事務組合への負担金(衛生費・消防費合わせて)10百万円の減である。経常経費の総額に大きな変動がない限り、今後も同水準を辿る見込みである。補助費は事業自体の精査から経費の圧縮に努めていく必要がある。
公債費に係る経常収支比率は類似団体平均に比べ低い状態を維持している。普通会計においては臨時財政対策債の累積発行額が増えているものの、過去に普通建設事業に係る起債事業を抑制してきたこともあり、プライマリーバランスの黒字化を続けてきた結果である。しかしながら、平成22年度から新たに過疎地域指定を受けたことに伴い平成23年度からは過疎対策事業債を活用し始めたことや、事業費の大規模な更新事業が行われたことにより、町全体としての地方債の発行額が増加しつつあり、平成29年度をピークに公債費はしばらく減少するものの、令和3年度以降は増加に転じていることから、中長期的なスパンで公債費を注視していく必要がある。
令和4年度決算においては、経費別の経常収支比率が扶助費、補助費等とその他(維持補修費・繰出金)で類似団体平均を超えているものの、人件費や物件費では下回る状況にあり、特に物件費の比率が類似団体平均に比べ良好なことが大きく影響し、全体(公債費除き)の比率としても類似団体平均より低い水準(良好な状態)で推移している。今後も経常経費のより一層の削減をめざし良好な状態を維持できるよう努めたい。
(増減理由)主な増要因は、財政調整基金へ歳計剰余金処分として約90百万円、青森地域広域事務組合から振興基金の返還分64百万円、特定目的基金である下水道事業債償還基金へ7百万円積み立てたことであり、一方主な減要因は、特定目的基金である公共施設等整備基金のうち92百万円を平内中学校整備事業、農業用施設修繕費、旧少年院跡地の全体利用計画作成・設計等への不足の財源分として、森林環境基金のうち7百万円を県単の林道整備事業の町負担分として、下水道事業債償還基金のうち3百万円を償還財源として取り崩したことである。(今後の方針)財政調整基金は、地方交付税の減や災害発生時の対応、社会保障関係経費の増大に備え、取り崩し等に配慮しながら積み立てを考えたい。減債基金は、将来の公債費負担を勘案し、経費削減等により捻出した財源を長期的に積み立てを行い、公債費負担の平準化のため、財政状況を見ながら徐々に取り崩しを行う見通しである。その他特定目的基金については、公共施設等整備基金以外の基金は現状を維持する見通しで、公共施設等整備基金は公共施設等の整備にかかる需要が増大した際に取り崩しを行う考えである。
(増減理由)地方交付税額の減や災害発生時の対応、社会保障関係経費の増大などに備え積み立てを行っており、令和4年度は基金運用益と剰余金処分の90百万円と青森地域広域事務組合から振興基金の返還分64百万円を積み立てたため増となっている。(今後の方針)将来需要が見込まれる減債基金や公共施設等整備基金(特定目的基金)を重点的に積み増し、基金運用益のみの積み立てをしてきたところであるが、公債費の増や、老朽化した施設の更新についての財源等を考慮し、財政調整基金に積み立てることも検討していきたい。
(増減理由)老朽化した消防庁舎や防災無線の更新により、地方債残高が増加していることから、本庁舎の更新工事等による将来の更なる公債費負担に備えて積み立てを行っており、4年度は、基金運用益のみを積み立てたため増となっている。(今後の方針)今後の公債費の増と財政状況を見極めて、必要な分歳計剰余金処分に伴う積み増し等を考慮していきたい。その後、中長期的に公債費の伸びと財政状況を勘案して基金の取り崩しを行う見通しである。
(基金の使途)・公共施設等整備基金:町が行う公共施設、その他の施設の整備に要する経費の財源に充てる。・地域づくり特別事業基金:地域の実情をふまえ、個性豊かな魅力ある地域づくりを行い、町の活性化を推進する。・地域福祉基金:高齢者の居宅における福祉の増進に関する事業等を行う団体に対する補助等を行い、高齢者福祉の増進を図る。・森林環境基金:森林環境譲与税を森林経営管理のための経費の財源に充てる。・下水道事業債償還基金:公共用水域の水質保全と町民の生活環境の向上を図るために生活排水等の処理施設を整備する事業に関する下水道事業債の元利償還に要する経費の財源に充てる。(増減理由)・公共施設等整備基金:老朽化が進む公共施設の整備の財源とするため約92百万円を取り崩したことが影響し減となっている。・森林環境基金:森林環境譲与税のうち森林経営管理のための経費へ充当した残りを積み立てたため増となっている。・下水道事業債償還基金:県からの補助金を原資に約4百万円を積み立てる一方で、前年度積み立て分を取り崩して下水道事業債の償還財源に充てていることから、ほぼ横ばいで推移するものであるが、3年度は繰越になっているため、4年度中の積み立てと取崩しで増となっている。(今後の方針)・公共施設等整備基金:前述の増減理由に記載のあるとおり、将来の財政需要を見極め、引き続き経費削減等により捻出した財源を積み立てしながら、公共施設等の整備にかかる需要が増大した際に取り崩しを行う見通しである・その他の特定目的基金:前述の増減理由に記載のあるとおり、今後も推移していく見通しであることから、基金残高は特段の理由がない限り、ほぼ横ばいになると見込んでいる。
当町では平成29年度に公共施設等総合管理計画を策定し、公共施設等の長寿命化に加え、公共建築物の延べ床面積を3割削減する目標を掲げた。有形固定資産減価償却率は類似団体より少し高い水準にあったが、令和2年度に新消防庁舎の完成による影響もあり、類似団体平均より大幅に下回る結果となった。今後は個別施設計画により、公共施設等の効率的な管理を推進していく。
債務償還比率は類似団体平均を上回っており、主な要因として消防庁舎や防災無線更新等により地方債発行額の増加により比率も増加につながっていることが考えられる。この増加傾向は、今後の中学校の統廃合、本庁舎更新等により比率はさらに増加が見込まれるが、令和3年度は交付税や税収等の増により、発生した歳入超過分を公共施設等整備基金等に積立てたことによる一時的な減と思われるため、今後もこれまで以上に中長期的な財政見通しに注視する必要がある。
将来負担比率は類似団体に比べ基金の現在高が少ないことが影響し、高い水準で推移しており、また有形固定資産減価償却率も全体的に施設の老朽化が進み、類似団体よりもやや低い水準となっている。今後は、公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化対策に取り組んでいき、施設の更新や除却が進み有形固定資産減価償却率は減少傾向となるが、起債額が増加することや基金の減少が予想されるため将来負担比率はより高い水準になることが見込まれる。
実質公債費比率は普通会計等の起債発行抑制の時期(平成17~23年度)を経たことで公債費が減少し、類似団体と比較して同程度の水準で推移している。一方で、将来負担比率は類似団体に比べ基金の現在高が少ないことが影響し、高い水準で推移している。老朽化した公共施設等の更新に向け特定目的基金の積み増しを継続してきたが、消防庁舎と防災無線の更新、今後の本庁舎更新により基金の取崩しと地方債発行額の増加により比率の悪化が見込まれる。令和3年度は基金の積み増し等による比率の一時的な減のため、今後もこれまで以上に中長期的な財政見通しに注視する必要がある。
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