経営の健全性・効率性について
【健全性】令和2年4月1日から地方公営企業法を一部適用(財務適用)することに伴い、令和元年度決算は打切決算となったことから、使用料収入が減少したことにより健全性に係る各指標へ与える影響が大きくなっています。「①収益的収支比率」は上記打切決算の影響に加え、企業債償還金が増加していることから、前年度よりも悪化しています。「④企業債残高対事業規模比率」は企業債残高は減少しているものの、上記打切決算の影響で悪化しています。類似団体平均及び全国平均よりも高い水準で推移していることから、今後より計画的な企業債発行に努めていく必要があります。「⑤経費回収率」は汚水処理費は減少しているものの、上記打切決算の影響がそれを上回っていることから悪化しています。なお、100%に達していない理由は下水道使用料以外の財源で汚水処理費を負担していることによるものであり、実質的には収支均衡が図られています。【効率性】「⑥汚水処理原価」は処理区全体の約14%が合流式で整備されているため有収水量割合が低いこと及び汚水処理原価のうち資本費(企業債償還金)が約6割を占めていることにより、類似団体平均及び全国平均よりも高い水準で推移しています。「⑦施設利用率」は、類似団体平均及び全国平均を上回っているものの近年減少傾向にあることから、「⑧水洗化率」の向上と合わせて更なる経営の健全性の確保に努めていく必要があります。
老朽化の状況について
令和元年度は公営企業会計を適用していないため、「①有形固定資産減価償却率」や「②管渠老朽化率」による分析はできませんが、本市の下水道事業は工事着工が昭和27年、供用開始が昭和42年と古く、処理場を始めとする施設及び管渠の老朽化が進んでいます。「③管渠改善率」は、毎年度、一定量の対策を実施していますが、今後も耐用年数を経過した管渠が年々増加していくことから、財政負担の平準化等に留意しつつ、計画的に改良・更新等を実施する必要があります。
全体総括
令和元年度は打切決算による影響が大きいですが、長期的には人口減少等による使用料収入の減少が見込まれるため、老朽化が進む施設の改良・更新需要に対応し、下水道事業サービスを持続的に提供していく必要があります。今後も維持管理費用の節減と適切な計画に基づいた建設投資のほか、既に下水道が整備された区域の水洗化率の向上により経営の健全化・効率化を図ります。