経営の健全性・効率性について
【健全性】「①収益的収支比率」は、企業債の借換に伴う元金償還金の増加により悪化、借換の影響を除いた場合は64.78と昨年度と同水準となります。今後、企業債償還のピークを迎えることから、使用料収入の確保や維持管理経費の削減により改善に努める必要があります。「④企業債残高対事業規模比率」は、市債残高が減少したことにより改善したものの、類似団体平均及び全国平均よりも高くなっていることから、今後も建設改良事業を計画的に実施し、企業債発行額を抑制していく必要があります。「⑤経費回収率」が100%に達していない理由は、下水道使用料以外の財源で汚水処理費を負担していることによるものであり、実質的には収支均衡が図られています。【効率性】「⑥汚水処理原価」は、汚水処理量に占める有収水量の割合が低いことなどを背景に、類似団体平均及び全国平均よりも高くなっていることから、経営の健全性に留意しながら、老朽管の改良・更新等に取り組むとともに、維持管理費の節減と企業債発行額の抑制により汚水処理費の低減を図る必要があります。また、「⑦施設利用率」は、類似団体平均及び全国平均よりも高いものの、処理水量に占める不明水割合が高いことから、費用対効果を改善するため、「⑧水洗化率」の向上と老朽管更新等の不明水対策を進め、有収率と施設利用率を並行して高めていく必要があります。
老朽化の状況について
現状では、公営企業会計を適用していないため、「①有形固定資産減価償却率」や「②管渠老朽化率」による分析はできませんが、本市の下水道事業は工事着工が昭和27年、供用開始が昭和42年と古く、処理場を始めとする施設及び管渠の老朽化が進んでいます。「③管渠改善率」は、建設改良事業費を抑えながらも改築・更新に努めたことから、割合が高くなっています。毎年度、一定量の対策を実施していますが、今後も耐用年数を経過した管渠が年々増加していくことから、財政負担の平準化等に留意しつつ、計画的に改良・更新等を実施する必要があります。
全体総括
長期的には人口減少等による使用料収入の減少が見込まれる中、老朽化が進む施設の改良・更新需要に対応し、下水道事業サービスを持続的に提供していくため、維持管理費用の節減と適切な計画に基づいた建設投資のほか、既に下水道が整備された区域の水洗化率の向上により経営の健全化・効率化を図る必要があります。