経営の健全性・効率性について
特定環境保全公共下水道事業については、他団体同様、市街化区域以外の小規模な排水処理区域を基礎とし、処理区域内人口密度も公共下水道の4割程度と汚水処理の効率が低く、使用料については、公共下水道事業に準じた体系となっているため、収益性が低くなっている。特に⑤の経費回収率について、下水道使用料で汚水処理費を賄えていないため100%を大きく下回る76.76%となっており、類似団体平均の84.30%からは7.54ポイント下回っている。①の経常収支比率については、繰出基準外の他会計補助金を収入しているものの経常赤字が発生しており、最終的な純損益において損失が発生しており、②の累積欠損金費率が前年度に対して9.21ポイント増加した。③の流動比率については、令和元年度に小部処理区を廃止して、公共下水道北部処理区に統合を行ったことに伴い、小部処理区の負債(企業債元金)を公共下水道に移管したことにより流動比率が改善したものである。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率について、本市特定環境保全公共下水道は令和元年度で法適用4年目を迎え、法適化時に減価償却累計額相当額を控除した額である簿価を取得価額とし、減価償却累計額がゼロの状態で開始したため、償却率が低くなっている。今後、年数が経過し、償却が進むにつれ他団体と同程度になるものと見込まれる。。また、処理場については、供用開始から15年、20年が経過するころから設備の耐用年数が経過し、改築・更新需要が増加するようになってくるため、令和元年6月に供用開始から20年が経過した小部処理区処理場を廃止し、公共下水道に統合を行った。
全体総括
今後、人口減少や節水意識の高まりで使用料収入が減少する見込みであること、処理場や管渠等の老朽化対策に係る多額の更新需要が見込まれることから、使用料の適正化や処理場の統廃合などによるコストの削減等、不断の経営改善が必要である。なお、今後の処理場の統廃合については、島嶼部地域の農業集落排水施設を特定環境保全公共下水道に接続し統合する予定で、直近では、令和2年度に1処理区の統合を予定している。