経営の健全性・効率性について
鳴門市の公共下水道事業(汚水)については平成21年より供用を開始し、現在は管渠築造等の建設投資に係る費用が会計全体の大きな割合を占めている。平成29年度末現在の水洗化率は38.14%であり、年々上昇しているものの、依然として低水準にあり、処理区域内の下水道への接続率向上が課題となっている。事業開始初期の段階で建設投資の割合が大きく、使用料収入が相対的に少ないため、収益的収支比率は低水準であり、汚水処理に係る経費や地方債残高については公費負担が大きくなっている。今後の見通しとしては、建設投資はこれまでどおり続く見込みで、資本費は高水準を推移することが予想される。また、普及促進事業等を継続して行うことで、下水道接続世帯が徐々に増え、水洗化率についてはゆるやかに上昇する見込みである。経営の健全性・効率性については、使用料収入が今後上昇する見込みから、徐々に改善していく見込みであるが、会計全体に占める資本費が高いため、起債残高や公債費が上昇する状況は当面続くことから、今後も厳しい経営状況は続く見込みである。
老朽化の状況について
公共下水道事業(汚水)については平成13年より事業を開始し、経過年数も少ないため、更新や修繕等が必要な管渠の老朽化は見られない。公共下水道事業(雨水)については、更新や維持補修が必要な管渠等が多数あるため、長寿命化計画を策定し、平成24年度より計画的に更新や維持補修を行っているが、今後、老朽化率は上昇する見込みである。
全体総括
公共下水道事業(汚水)については、事業開始からの経過年数が少ないため、管渠等の老朽化の問題は発生していないが、新設に係る資本費が大きいことや公債費の増加で、経営状況は厳しい状況が続いている。今後は接続率向上による使用料収入の増収が課題である。公共下水道事業(雨水)については、管渠等の老朽化が進んでいるため、計画的に更新や維持補修を行っているが長期の年数が必要となる見込みである。