収益等の状況について
今年度は施設の建替後初めての通年営業となり、今後の経営比較分析を行っていく上での基準となる。通年営業に伴い、経常収支は黒字化したが、想定していた結果とはならなかった。今年度から施設改築に伴う地方債の元金償還が始まり、また元利均等償還のため、今後各年度の元金償還額は増加していくことから、①収益的収支比率は不安定な状況である。施設が新しいことによる高い④定員稼働率を背景に、今後もアンケート等を活用した効果的なサービスの向上による売上増加、人員配置の適正化、業務の見直し等による経費削減等、収益・費用の両面から継続的な経営改善を行い、①収益的収支比率の改善と安定化を進める。その他の指標(②、③、⑤~⑦)についても、①収益的収支比率と連動するため、経常収支の改善が全てである。
資産等の状況について
当該施設は平成28年8月に建替工事が完成し、同年11月に営業を開始している。⑨施設の資産価値は統一的基準による貸借対照表の建物から減価償却累計額を差し引いた額である。今後33年間、毎年およそ70,800千円の減価償却を行っていくこととなる。⑩設備投資見込額は、備品、機械設備等の修繕費として1,000千円/年(見込)を計上したものであり、大規模な設備投資は当面行わない見通しである。⑫企業債残高対料金収入比率については、今後地方債の元金償還をしていくにしたがって徐々に改善される見込みである。
利用の状況について
今年度は施設の建替後、初めての通年営業となったことから、宿泊客数動向における公営企業の数値は、前年度と比べ約2.4倍の伸びとなった。また、市町村の数値についても、当該施設の伸びに引っ張られる形で増加している。これは、市内には13の宿泊施設があるが、そのうち10施設は民間事業者による収容人員が50名以下の小規模宿泊施設であり、当該施設が市内では最大の宿泊施設であるため、数値に大きく影響したものである。本市において当該施設は、観光利用の受け皿が必ずしも十分と言えない状況の中、観光振興を図る上で重要かつ必要な施設であるため、今後も引き続き利用者数の増加に努めていく。
全体総括
施設建設のため借り入れた地方債の残高は、今年度末現在およそ21億4千万円であり、当該施設から得られる収益によってその償還財源を確保していかなくてはならないと考えているが、通年営業初年度である今年度は、黒字化はしたものの想定していた結果とはならなかった。当該施設は、観光振興及び雇用も含めた市内経済への波及効果による地域活性化に寄与するとともに、市民の健康増進を図る施設として一部公共的な役割を果たしているが、全体としては収益性の高い施設であることから、現在の高い稼働率を維持しながら、今後もアンケート等を活用した効果的なサービスの向上による売上増加、人員配置の適正化、業務の見直し等による経費削減等、収益・費用の両面から継続的な経営改善をよりいっそう進める必要がある。