経営の健全性・効率性について
萩市の特定環境保全公共下水道事業は、平成9年に事業着手、平成15年に供用開始を行い整備は完了している。なお、平成25年に隣接する漁業集落排水を取り込んで汚水処理を共同で行い効率化を図っている。市内の下水道使用料を統一するため、平成23年10月及び平成26年1月と段階的改定を行ったがこの事業は実質値下げ改定となった経緯がある。平成28年度の数値については、分流式下水道に係る一般会計からの繰入金の算定基準が変更されたため、企業債の元利償還金及び企業債残高に対して一般会計が負担する額が増加したことに伴い経費回収率は上昇し、企業債残高対事業規模比率及び汚水処理原価は低下している。収益的収支比率については、平成26年度以降90%を超えて推移しているが、供用開始から10年以上経過し機械設備等の定期整備等の増加により汚水処理原価が類似団体平均を上回っている年度もある。水洗化率については、90%を越え類似団体平均値を大きく上回っているが、人口の自然減などの影響により施設利用率は低迷している。
老朽化の状況について
平成15年に供用開始をする際に、昭和53年に供用開始された、開発団地の管渠(約3km)を取り込んだことから、その開発団地の管渠を順次更新している。その他の管渠については、緊急性はないが将来的に計画的な更新が必要となってくる。処理施設の機械設備等については、定期的な分解整備等により延命化を図っている。
全体総括
収益的収支比率や経費回収率が100%に達しておらず、安定した事業経営を行うためにも使用料のあり方について継続的に検討していく必要がある。そのためには、まず財政マネジメントの向上等を図る必要があるため、平成29年4月から地方公営企業法を適用し公営企業会計として経営を始めるところである。老朽化対策についても、供用開始から10年を超えているため徐々に必要性が増してくることが予測されるが、当面は定期整備により延命化を図っていく予定である。また、使用料を他事業と統一したことから、地方公営企業法の適用に併せ会計処理を一本化した後、一つの下水道事業として経営戦略及び使用料の見直しに取り組んでいく予定である。