経営の健全性・効率性について
当市の特定環境保全公共下水道事業は、大きな集客施設であるしまね海洋館アクアスや県内屈指の海水浴場がある波子地区において、水質保全や住環境の向上を図るため、H13に事業認可を受け事業着手し、H17に供用開始したものである。①収益的収支比率についてH27が特に高かったのは、使用料収入だけでは施設管理費も十分に賄えないことから、将来的な負担増に備えた臨時的な一般会計繰入金を受け入れたためである。H28はそういった臨時的収入は無く、例年並みの数値となっている。④企業債残高対事業規模比率は、地方債償還費を一般会計繰入金で賄わなければならない状況であることからゼロになっている。⑤経費回収率はH27よりは若干改善したものの、依然類似団体平均値より低く、⑥汚水処理原価は逆に同平均値より高くなっている。その要因としては、H27に支出した機械設備の臨時修繕といったものがなかったものの、H26に比べると資産管理システム構築費が必要となったことや汚水処理の過程で生成される汚泥の処分費が増加したことが挙げられる。⑦施設利用率は依然低い状況にあるが、⑧水洗化率は、接続家庭の増加等により、少しずつ伸びてきている。
老朽化の状況について
供用開始後12年が経過したが、管渠の法定耐用年数は50年であり、老朽管の更新等は行っていない。このため管渠改善率の数値は出ていないが、今後必要となるストックマネジメント計画を策定する中で、より良い経営にむけた管渠・処理場の老朽化対策を図っていく必要がある。
全体総括
当市の特定環境公共下水道事業は、主にしまね海洋館アクアスを中心とした事業所使用料が大きな収入源であり、こうしたことが経費回収率の引き上げ要因となっている。しかし、恒常的に施設維持管理費に対して使用料等の収入が不足しており、H27・28のように汚泥の処分費用や臨時的支出等による不足分は基金の取崩しにより対応しなければならない状況となっている。今後対象地区の人口減少や高齢化の進行が見込まれる中で、事業経営を継続するために、引き続き広報啓発等接続率の向上の取り組みや稼働状況に合わせたランニングコストの節減に努めるとともに、経営改善手法について検討していく。