経営の健全性・効率性について
経常収支比率は117.77%となり、100%超え(単年度収支が黒字)となっている。令和元年度以降は比率の分母を構成する経常費用のうち減価償却費が減少する傾向にあることから、今後も増加することが見込まれる。累積欠損金比率は、前年度より36.63ポイント減少したが、平成24年度以前(地方公営企業法適用前)に発行した下水道事業資本費平準化債等の影響から令和元年度で599.65%となり、類似団体平均、全国平均を大幅に上回っている。比率の分子である累積欠損金に影響する純損益は、令和元年度以降は減価償却費が減少する傾向にあることから、比率の増減は横ばいになることが見込まれる。流動比率は10.11%となり、100%を大きく下回っている(令和元年度末から1年以内の支払いに対応する資金が同年度末で不足)が、比率の分母となる流動負債のうち企業債償還金(翌年度償還分)に係る財源は、下水道使用料の他に1年以内に収入する一般会計繰入金、下水道事業資本費平準化債等を予定していることから、大きな影響はないと考えている。企業債残高対事業規模比率は、一般会計等が負担することが見込まれる企業債残高の割合が減少した影響から848.88%となり、前年度からは10.16ポイント増加している。経費回収率は100.18%となり、100%超えとなっていて、類似団体平均、全国平均を上回っている。また、汚水処理原価は234.19円となり、類似団体平均、全国平均を上回っている(有収水量1.当たりの処理費が高い)。ついては、令和元年度末で88.84%となっている水洗化率や施設利用率(R01で20.71%)の向上による有収水量の増加、使用料収入の確保に向けた取組を、今後も継続して進める必要がある。
老朽化の状況について
特定環境保全公共下水道事業(7処理区)は供用開始(最初:平成2年1月、最終:平成16年9月)から30年が経過したところであるが、有形固定資産減価償却率は28.38%で100%を大きく下回っている(保有資産の法定耐用年数に到達していない)ことから、現段階では、機械設備等の定期的な点検整備を行うことで、大規模な更新事業等を行う必要はないと考えている。
全体総括
供用開始(最初:平成2年1月、最終:平成16年9月)から30年が経過したところで、水洗化率は88.84%となっている。本町では、平成20年度から計3回(平成20年10月、平成23年7月、平成26年7月)の使用料改定を行ってきたところであるが、処理区内人口の自然減少等の影響から、さらなる水洗化率の向上による有収水量の増加、使用料収入の確保は、難しいと考えるため、本事業の運営に必要となる財源の確保が課題となっている。当面は、下水道事業資本費平準化債発行の継続による企業債元金償還金の財源確保、財政課との協議による一般会計繰入金の確保等、中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」に基づく運営を進めることで、本事業の現金による収支が均衡するよう、運営に必要な財源を確保していきたいと考えている。