経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率平成24年度から80%前半で推移していたが、企業債償還に伴う基準内繰入の減による総収益の減、流域下水道維持管理費負担金の単価増額改定による総費用の増等により、平成28年度は80%を下回った。今後、料金収入の改善による総収益の改善が必要である。④企業債残高対事業規模比率企業債償還に伴い平成28年度も比率は減少し、平均値程度まで改善されたが、今後は、投資規模の抑制による企業債の借入抑制と料金収入の改善による営業収益の改善が必要である。⑤経費回収率流域下水道維持管理費負担金の単価が増額改定されたことにより、平成28年度は汚水処理費に係る維持管理費が増加し、比率が若干悪化した。100%を下回っており、料金収入の改善が必要だが、有収水量の大幅な改善は見込めないため、使用料単価の早期改善が必要である。⑥汚水処理原価平成28年度も平均値を下回っているが、⑤記載のとおり今後も汚水処理費に係る維持管理費の増加が見込まれる一方、有収水量の大幅な改善は見込めないため、今後、悪化する可能性が高い。⑧水洗化率平成27年度は処理区域面積の増による処理区域内人口の伸びと比較して水洗便所設置済人口の伸びが低調であったことから平均値を下回ったが、普及促進活動を年間通じて行うことで、平成28年度は比率が改善した。今後も戸別訪問による粘り強い活動を通じて、少しでも水洗化率を向上させることが必要である。
老朽化の状況について
西尾市の公共下水道事業は、公共水域の水質保全と、地域の生活環境の改善を主な目的に、矢作川流域下水道の関連公共下水道事業として、昭和52年度に事業着手し、平成4年度には、西尾西部処理分区の一部を市内で初めて供用開始し、以後、毎年継続して整備促進に努めているところである。このように、比較的整備時期が新しく、平成33年度までに完了することを目標として、現在も新設工事を主に行っている状況であることから、③管渠改善率に対象となる数値が含まれないという状況になっているが、現在、国の施策の一環として、長寿命化対策、耐震化事業など、管渠等下水道施設の改善等を図っているところであり、こうした成果は今後現れてくる。
全体総括
平成23年度の1市3町合併により、総じて経営状況は悪化したが、ここ数年は一部の指標において改善傾向にあるが、依然として各指標の当該値は、平均値と比較すると、良い数値とは言えない。過去には高利の企業債について、繰上償還及び低利への借換を行うなど、経営改善に努めてきたものの、今後訪れる人口減少社会、管渠の大量更新等に対応するには、非常に厳しい経営環境にあることは明らかである。このため、企業債の増加を抑えるためにも、事業採算性を考慮しつつ、事業計画の妥当性を検討するとともに、料金収入の改善に向けた粘り強い普及促進活動による水洗化率の向上と、早期の料金体系見直しが必要である。なお、平成32年度中には地方公営企業法適用後の経営戦略を策定・公表できるように、現在、上記を踏まえた投資財政計画の作成を進めている。