経営の健全性・効率性について
⑧水洗化率は接続促進活動等により前年度に比べ改善されているが、全国平均と比べ大きく下回っており、下水道使用料も低く設定されていることから⑤経費回収率も全国平均を大きく下回っている。①経常収支比率は燃料単価減による電力料の減少等により前年度と比較して改善し100%を越えているが、全国平均と比べ低い状態が続いている。⑤経費回収率と大幅に乖離しているため一般会計からの基準外繰入金(汚水処理に係る資本費)にかなり依存をしている状態となっている。⑥汚水処理原価においても電力料の減少等により前年度に比べ改善したが、全国平均と比べ高い状態である。⑧①⑤⑥の改善策として、有収水量の増加のために、平成29年4月より組織体制を見直し、未接続世帯への戸別訪問等の下水道接続の推進活動を強化している。平成29年10月より使用料の改定も行った。④企業債残高対事業規模比率は、投資額を抑制したことにより企業債の発行が償還元金より小さくなっていることから前年度に比べ改善したが、全国平均を大きく上回っている状態が続いている。⑦施設利用率が全国平均より下回っているが、地場産業の衰退により特定区域の排水量がピーク時より減少しているためであり、処理能力の見直しをする必要があることから、県の流域下水道との統合(広域化)やダウンサイジングを検討していく。
老朽化の状況について
下水道事業の開始がかなり早いため全国平均に比べ老朽化した資産の割合が高くなっている。また一宮市内には布設が完了している単独区域と現在拡張中である流域下水道区域の2種類の区域があり、老朽管の更新工事よりも流域下水道区域の拡張を優先して進めてきたことにより管渠改善率は全国平均を下回っている。今後については新規拡張より改築更新に重点を置き、管渠の長寿命化を図っていく。
全体総括
一宮市内にある単独区域と流域下水道区域の2種類の区域において、単独区域では施設や管渠の改築更新、流域下水道区域では整備計画に基づき布設するための投資が必要であるが、経常収支比率、経費回収率共に全国平均を下回っていることから、下水道使用料の改定(平成29年10月より平均約14%値上げ)を行った。その効果を検証し、区域内での下水道への接続を推進していくことにより収入の増加を目指し、また、平成29年度末までに策定する予定の経営戦略を踏まえた投資や維持管理費用の見直しにより経費を抑えていく必要がある。