経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、毎年度100%を上回っており、単年度の収支は黒字となっている。これは、使用料収入等で賄いきれない費用の財源を、繰入金として一般会計から繰り入れているためである。現在、経常収益のうち使用料収入の割合は、約33%、一般会計からの繰入金の割合は、約40%と繰入金への依存度が高くなっている。また、経費回収率は、86.31%となっており、汚水処理費のおよそ2割を使用料収入以外の収入で賄っていることを示している。使用料収入の適正な確保と維持管理費の削減が必要である。短期的債務の支払能力を表す流動比率は、45.42%と類似団体平均値を下回っている。現状は、類似団体よりも支払能力が低いと言える。企業債残高対事業規模比率については、昨年度より減少しており、料金収入に対する企業債残高の割合が減少していることが分かる。施設利用率は、流域下水道で処理した水量も計上されているため類似団体平均値を上回っているが、単独公共下水道事業における施設利用率は、37.47%と低い値になっている。水洗化率は、年々増加傾向にあるが、類似団体平均値を下回っている。料金収入を増加させるために、さらに水洗化率向上のための取り組みを続ける必要がある。また、汚水管に流入する雨水や地下水等の不明水対策に取り組むことで有収率を改善する必要がある。
老朽化の状況について
当事業体の供用開始年度は平成6年度と比較的遅い。そのため、資産の老朽化度合いを表す有形固定資産減価償却率は、類似団体の平均を上回っており、施設の老朽化が順次進んでいる状況だと言える。供用開始年度が比較的遅いにもかかわらず、耐用年数を超えた管渠の割合を表す管渠老朽化率は、類似団体平均値を上回っている。これは、昭和30年代前半に整備した雨水渠が約600m存在し、これらが耐用年数を上回っているためである。これらの管渠については、老朽管調査を行い、修繕することで機能の保持を図る。管渠改善率は、0.00%であるが、今後は、老朽化対策に要する事業費が飛躍的に上昇することが予想される。限られた財源の中で計画的な更新を行うために平成28年度に策定した経営戦略に基づいた更新を行う必要がある。
全体総括
現状においては、一般会計からの繰入金によって、安定的な経営を維持していると言える。今後は、管渠や施設の老朽化が進み、更新費用の増加が見込まれる。企業債償還金についてもしばらくは高水準で推移する見込みであり、減価償却費の見合い分でも賄いきれず資金的に厳しい状況が続くことが見込まれる。維持管理費削減のために、管渠や施設のスペックの見直し等を検討するとともに、汚水管に流入する雨水や地下水等の不明水対策に取り組むことで有収率の向上を図っていく。また、料金収入増加のために、水洗化率向上のための取り組みも続ける。限られた財源の中で効果的な更新を行うために、平成29年度に策定したストックマネジメント基本方針や各施設別計画、平成28年度に策定した経営戦略に基づいた、計画的な更新が必要である。