経営の健全性・効率性について
単年度の収支を示す収益的収支比率については、直近5年において右肩上がりとなっており改善傾向に見られるが、これは地方債償還金が順次完済されていることによるものであると考えられる。使用料収入については、平成26年4月1日の消費税率の改定により使用料単価が消費税率分(3%)上がっているにも関わらず減少しており、今後も人口減少や住民の節水志向により減少していくことが見込まれる。企業債残高は類似団体平均と比較して低いが、現在実施している汚水処理施設の改築更新事業による借入金が増加していくことになる。しかしながら、汚水処理施設建設当時に借入れた債務が順次完済されるため、企業債残高は一定の水準で推移していくと考えられる。経費回収率は100%を下回っており、汚水処理費用を使用料収入で賄えていないが、類似団体平均と比較すると高く、料金水準も高い。接続率は92.85%と高く今後も大幅な増収は見込めないため、より一層汚水処理費の縮減に努め、それでもなお汚水処理費用を使用料収入で賄えない場合は施設の運転方法の見直しや使用料改定を含め検討していかなければならない。
老朽化の状況について
下水道施設については、供用開始から32年経過しており、汚水処理施設の老朽化が著しい。近年、修繕料などの維持管理費は増加傾向にあり、汚水処理原価は増加していくことが予想される。そのため平成25年度に処理施設の長寿命化計画を策定し、平成26年度から改築更新事業に着手している。汚水管渠施設については、汚水処理施設と同様に供用開始から32年経過しているが、順次管渠内のカメラ調査を実施しており、不具合箇所の修繕を実施している。現在大きな不具合は発生していない。
全体総括
水洗化率は類似団体平均と比較して高い水準であるが、使用料収入については今後の人口減少、住民の節水志向に伴い、今後も減少していくことが予想される。処理施設の老朽化のため、長寿命化計画に基づき改築更新事業を実施しているが、改築更新事業には多額の費用がかかり、その借入金の償還が多く、経営を圧迫している。これまで減少傾向であった企業債残高が改築更新事業の開始に伴い一定の水準で推移していくと考えられることから、より一層、維持管理の節減に努めなければならない。また、施設利用率については、建設当時の行政人口、観光人口の伸びを見込んで処理能力を決定していたが、昨今の人口減少や節水志向により低下している。この処理区はすでに面整備が完了しているため、他処理区の面整備を進め、その汚水を取り込むことで施設の有効利用を図っていきたい。