経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、企業債の元利償還がピークを迎えていることから、①収益的収支比率及び⑤経費回収率が100%を割り込んでいる。特に経費回収率では類似団体が増加傾向にあるなか横ばいとなっており、使用料収入の確保や更なる経費削減が必要な状況にある。④企業債残高対事業規模比率は減少傾向にあり、類似団体と比較して6割程度であることから、企業債の償還が進んでおり良好と考える。費用の効率性の観点からの⑥汚水処理原価は類似団体を上回っており、増加傾向にある。分母となる有収水量がなだらかな減少傾向にあるなか、汚水処理費のうち特に維持管理費が増加していることから、より一層の効率的な汚水処理に努める必要がある。汚水処理原価の分母となる有収水量について、⑧水洗化率は、接続促進の取組みの成果から増加傾向にあり98%を超えている。そのため、新たな「使用料対象の捕捉」の観点からは対象が限られており、今後の有収水量の大幅な増加は見込めない。なお、⑦施設利用率については、単独処理場の処理能力に対する、流域分と単独分を合計した処理水量の割合となっているため、100%を超えている。
老朽化の状況について
本市は昭和30年に下水処理場を含む北野処理区の工事に着手し、その後、流域関連公共下水道を順次追加し、平成19年度に汚水処理施設の整備を概成した。昭和44年に使用開始した北野下水処理場は、長寿命化工事等により順次設備を更新しているが、今後は流域下水道に編入する計画となっている。管きょは初期に布設され30年を経過したものが20%を上回ることから、平成21年度から耐震化工事、平成26年度から長寿命化工事を実施している。このことにより管渠改善率は類似団体の平均値を上回っている。今後もライフサイクルコストの最小化の観点から延命化や更新を計画的に行う。
全体総括
本市の下水道事業は、各指標が示す通り、現在は厳しい経営状況にある。この大きな要因は、過去に集中して施設整備を行った企業債の元利償還がピークを迎えていることにある。今後はピークを超えることから、経営状況の改善を見込んでいる。現在、更なる経営の健全化に向けて5カ年計画の「下水道事業中期経営計画2014」を策定し、歳入の確保や歳出の抑制に取り組んでおり、今後も確実に計画を推進していく。さらに、平成32年度に地方公営企業法を適用し、公営企業会計への移行を予定しており、より一層の経営基盤の強化に取り組むことにより持続可能な事業経営を推進する。