経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率平成28年度は、前年度に比べ0.64ポイント下回っており若干赤字割合が増となっている。これは前年度に対して汚水処理施設に係る修繕費が大幅に増となったことや地方債償還金が増となったためである。④企業債残高対事業規模比率下水道事業における資本費に対する繰出基準に基づき、地方債償還に要する資金の全部を一般会計で負担することにより平成27年度から0%となっている。⑤経費回収率平成28年度は、類似団体を大きく下回る割合となった。使用料収入の伸びがないことに対し、汚水処理費の大幅な増が原因となっている。⑥汚水処理原価年々汚水処理に係るコストは増傾向にあり、平成28年度は類似団体を大きく上回る数値となった。今後、施設修繕といった維持管理費の増が予想されるが、効率的な施設運営や接続率の向上による使用料収入の確保について検討していく必要がある。⑦施設利用率施設利用率については、50%を下回る水準であるが、類似団体平均値と比較するとそれを上回る利用率となっている。年々整備完了区域が拡大し、下水道へ接続する世帯が増加していることから徐々に施設利用率は上昇傾向にある。今後は計画区域の将来分析を行い、施設の遊休状態をできるだけ解消していく検討が必要である。⑧水洗化率平成28年度は80%を超えており類似団体と比較して高い割合となっている。今後処理区域内の戸別訪問を行うなど対策を講じ、水洗化率を高め、使用料収入の適正な確保につなげていく必要がある。
老朽化の状況について
当町の公共下水道は、平成19年度より供用開始をしており、管渠の老朽化はそれ程進行していない。そのため、これまで管渠の老朽化等による更新は実施していない。しかし、稼働後10年を経過したことから汚水処理施設の老朽化が随所に見られる状況にあり、計画的に施設修繕を行うことも必要となっている。今後は、ストックマネジメントの考え方を取り入れ、適正な施設・管渠の維持管理、計画的な更新ができるように取り組む必要がある。
全体総括
当町の下水道事業は、平成36年度に全体計画区域における面整備が完了し、その後は施設等の維持管理が中心となる予定である。水環境の保全や住民の衛生的で文化的な生活環境の実現のため、当該下水道事業は必要不可欠なものであるが、現状の分析結果を考慮すると、決して効率的、経済的に事業を運営している状況でないことがわかる。そのため、今後は計画的に適切な施設管理・運営・更新を行い、維持管理費等の削減方法を検討しつつ、下水道接続率の向上による有収水量の増を目指す取組が求められる。また、区域内人口の増減なども分析し、施設規模を実情に見合った規模になるよう見直すことも必要である。将来に向けた取組を様々な角度から検討することが求められるが、公営企業は、その運営経費を料金収入で負担することが基本である独立採算制の考え方に基づき運営される。当町の地理的条件や人口密度等を総合的に考慮すると単純に使用料を引き上げることも難しい状況であるが、今後は適正な料金体系についても検討していく必要がある。