経営の健全性・効率性について
本町の下水道事業は、町内に流域下水道の終末処理場があることから、町内全域が下水道計画区域という特徴があります。このことから投資規模が大きくなる傾向にありますが、特定環境保全公共下水道事業(市街化調整区域内の事業)については、公共下水道事業(市街化区域内の事業)ほど整備が進捗しておらず投資額は比較的少ない状況です。使用料収入等に対する地方債残高の割合を示す「企業債残高対事業規模比率」は、近年、類似団体の平均値を上回っており、債務残高の規模は公共下水道事業ほどではないものの、高い状況が続いています。単年度収支の状況を示す「収益的収支比率」は、使用料収入に対し元利償還費が過大となっていることから、100%を下回っており経営改善に向けた取り組みが必要です。単位当たりの汚水処理費を示す「汚水処理原価」は、類似団体と比較すると低い数値で推移しており、比較的良好な状況といえます。使用料で回収すべき経費をどの程度使用料収入で賄えているかを示す「経費回収率」は、企業会計移行による打切決算の影響により前年比較で減少しています。また、類似団体の平均値を下回り、80%に満たない状況にあることから、料金の適正化に取り組む必要があります。整備済み区域内の人がどの程度接続しているかを示す「水洗化率」は、類似団体の平均値、全国の平均値いずれも下回っており、接続の普及・促進に対する取り組みが課題です。水需要の減少、節水意識から世帯当たりの使用量は減少傾向にあり、使用料収入は依然厳しい状況です。経営の健全化、効率化に向け更なる取組が必要です。
老朽化の状況について
本町は町単独の終末処理場、ポンプ場を保有しておらず、自主管理する下水道施設としては道路内に埋設している下水道管渠が主なものとなっています。供用開始から30年以上経過しているものの、耐用年数を経過しているものは少なく、施設の老朽化はそれほど進行していない状況です。
全体総括
他団体との比較から「企業債残高対事業規模比率」、「経費回収率」などやや劣る指標はあるものの、大きく劣るものはないことから経営の健全性・効率性は、現状では大きな問題はないものと考えられます。「経費回収率」が8割に満たず、100%を大きく下回っているのは、料金設定が低いことが要因と考えられます。将来にわたり経営の健全性を確保するためにも、料金の適正化に取り組む必要があります。令和2年度から公営企業会計に移行していますが、中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を今年度策定し、計画的な事業運営を図ります。また、現在は、施設の修繕に要する費用は少ない状況にあるものの、今後、施設の老朽化が段階的に進むため、長寿命化計画を策定するなど、老朽化対策を計画的に進める必要があります。