経営の健全性・効率性について
他自治体に比べ、公債費残高が多く、収益的収支も低い。これは当事業所の施設稼働率が低く、接続率も低く,汚水処理原価が高くなるためである。健全な状況とは言えない。日銀のマイナス金利の導入で資本費平準化債の利子負担が減少し、営業外経費の減少は見込めるが、同時にインフレに伴う施設の維持管理費の漸増に追いつかない。収益的収支を100%にすることすら困難。改善には料金値上げが必須。現時点の使用料収入だけでは、販管費(平成26年度決算額で4,321千円)さえ賄えていない。景気回復に伴い緩やかに水洗化率は向上しているが、同時に過疎化に伴う人口減少も著しい。使用料収入は加入率向上とともに漸増することが予想できるが、ただし未加入世帯の人口構成は高齢一人暮らし層が多くこういった世帯での増改築需要は見込めない為、60%を目途に頭打ちする。使用料収入を値上げをしない場合は今後5~10年程度で頭打ちし、平成26年度時点の使用料収入2,724千円に対し、3,000~3,200千円程度でピークをむかえ、その後緩やかに使用料収入は減少していくであろうと予測できる。
老朽化の状況について
現在利用している埋設ダクタイル管の耐用年数45年とすると、平成27年3月31日現在、供用開始から15年経ち、実際の更新時期は30年後の平成57年~である。それまでは管網の延長、更新はない。事業債、資本費平準化債等の起債の償還は平成41年度完済予定で、起債償還後、新たに起債を発行し老朽化した管網の随時更新していく。
全体総括
経営改善には値上げが必須。他自治体の同規模事業所の20m3当たり平均使用料3,069円となっており、当事業所の使用料を鑑みるに値上げ余地がある。3年以内にこの平均値程度には料金改定を検討することとなる。更には高資本費につき現在841円の単価を平均値の510円程度まで引き下げる程度の値上げを順次行い、その一方で、施設稼働率を向上する為新築改築需要を的確にとらえ、水洗化への加入促進を怠らない。少なくとも公債利子負担を除いた営業外費用を除く、販管費等の営業費を使用料収入で賄えるような改善を目指す。管網の更新は現起債の償還後数年に分け、余裕を持った更新ができるよう計画する。