経営の健全性・効率性について
これまでの下水道への接続勧奨対策から⑧水洗化率はH23から微増傾向が続いている。しかしながら人口減少や近年の節水機器の普及等により下水道使用料は、横ばい傾向が続き、今後とも大幅な伸びは期待できない状況である。①収益的収支比率は、H26にはH23から約6ポイント減少し、単年度赤字となったことから、収支改善に向けた取組みを行い、H27では微少ながら増加した。また、⑤経費回収率でもH26にはH23から約8ポイント減少している。H25、H26と100%を割ったことから施設等維持管理費の縮減に努めているところである。更に④企業債残高対事業規模比率は、H26、H27と減少傾向にあるが、依然として類団平均値よりも高い。当分の間、企業債償還比率の増加傾向が続くことが見込まれており、企業債償還が下水道財政を圧迫し続けることが予想される。一方、⑥汚水処理原価では類似団体平均値より約25%下回っている傾向が続いており、本市の地理的な要因もあるが、効率的な汚水処理が実施されていると言える。⑦施設利用率はH23から類似団体平均値並みに推移しており、概ね効率的な施設利用がなされていると言える。しかし、今後については人口減少に伴い処理水量が減少傾向となることが予想され、長寿命化対策と同時に施設規模の縮小にも取組を始めていかなければならない。
老朽化の状況について
昭和33年の下水道供用開始から50年以上が経過し、耐用年数が50年といわれる下水道管の老朽化は著しく、現在は危険性の高い箇所から管更生工事を実施している。また、終末処理場は昭和54年の処理開始から35年以上が経過し、施設自体や各種設備機械等の老朽化は年々進んでいる中、現在では計画的に改築更新事業を実施して、施設や設備機器の機能維持を図っている。今後は耐震対津波対策を含めた抜本的な施設の長寿命化対策事業の実施が必要である。
全体総括
①収益的収支比率について、H27では若干の改善傾向が見られるものの、④企業債残高対事業規模比率から公債費償還に係る負担割合の増大等で依然として下水道事業の経営悪化は避けられない状況が続くことが予想される。そのような中、継続的な下水道事業実施のため施設の老朽化による長寿命化対策への財源確保が喫緊の課題となる。公営企業会計への移行を控え、適切で安定した下水道事業経営を目指すため、長寿命化対策の財源を優先的に確保しながら、トータルでは建設改良費を抑制し、将来的な公債費償還の縮減に取り組む。同時に事業効率化による施設等維持管理費の縮減に努力し、早期の経営健全化を図っていくことが求められる。